コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 偽装人間@000【第1章更新中】 ( No.29 )
日時: 2013/04/20 22:39
名前: 朔良  (ID: 2IhC5/Vi)

        第1章 謎の少女2

 比呂に呼び止められ、澪は振り向く。それだけで様になる美少女だ。
「ちょ、ちょっと比呂君?」
 長沢は比呂の言葉に戸惑っている。
「大丈夫です。この子はすごい力を持っている、そう直感で感じたんです—……!」
 澪は無表情で比呂を見つめる。大勢の少女達は「なぜあの子?」というように澪を見つめている。
「……何でしょうか?」
 澪が口を開いた。
「君……えーと菊川さん? もう一回演技してくれないかな?」
 笑顔で比呂が澪に問う。笑いかけられても澪は反応しない。
「……こんなつまらない演技、何度見ても同じだと思いますが」
「あ、つまらない演技だって分かってるんだ?」
 その言葉を待ってました、というように比呂が笑う。澪は少しだけ表情を曇らせた。
「菊川さん、本気の演技してないでしょ? もう一回本気で演じてみてくれない? どんな風に演じてみてくれても良いからさ」
 澪はふうとため息をつき、比呂に確認した。
「……本当に好きに演じて良いんですね?」
「ああ」
 そう確認が取れると、澪は拳銃を持ち直した。そして、審査員の方に近づき、審査員の前の机を勢いよく蹴る。それもプロデューサーの長沢の前を。
『あなたは追い詰められたわ。もう逃げ場なんてない』
 恐ろしさと美しさを混ぜた表情で長沢の額に拳銃を向ける。
『私から逃げることなんて……』
 そう言い言葉を切り、見下したような笑顔でゆっくりと拳銃の引き金を引く。
『不可能なのよ』
 そう言うと、澪は足をおろし、拳銃を長沢から離す。
 長沢は澪の演技に驚いたのと、恐怖心で汗が出ていた。
「……終わりです」
 それだけ言って澪は戻って行った。

 その後も審査は続き、最後は審査員で話し合う形になる。少女達は皆帰っていく。
 澪も帰ろうとしていたので、比呂は咄嗟に追いかけた。
「あ、比呂君?!」
「すぐ戻ります!」
 そう言い残し比呂は出口の方へ向かう。

                   
                            続く