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- Re: 偽装人間@000【幕間&第3章更新中(演劇+恋愛物)】 ( No.70 )
- 日時: 2013/04/15 18:44
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
第3章 少年突撃
「……こほっ、ごほごほ……」
マンションの一室に澪の咳の音が響く。
昨日、かなり無茶な演技をしたせいで風邪をひいたのだ。
「くしゅっ……」
その時、インターホンが鳴る。澪はベットからゆっくりと起き上がった。
「……はい」
「あー澪ちゃん? 俺、俺だけど」
「……オレオレ詐欺なら間に合ってます」
「ちょっと! そっちから顔見えてんでしょ! 戸松ひ……」
そこまで言いかけて一旦言葉を切る。戸松比呂がこのマンションにいるとなったら大騒ぎだ。ちゃんと眼鏡とマスクで顔を隠していた。
「とりあえずさ、入れて?」
ここで永遠と待たれても困ると考えた澪は「入れ」と指示をした。
「大きい家に住んでんだねー。もしかして一人暮らし?」
「……そうですけど何か。それより、何で私の家を知っているんですか」
「長沢さんに聞いた。履歴書とかに住所って書くじゃん」
……それは一種の犯罪ではなかろうか。
「澪ちゃんしっかり水分とか取った? ほら、はやくベット入って」
ぐいぐいと澪をベットへと押す。
比呂のせいでベットから出るはめになったのだが。
「おかゆとか作るからさ、ちょっと待ってて」
「……作れるんですか」
「俺も一人暮らしだもん」
比呂は笑いながら自分が買ってきた具材が入った袋に手を伸ばす。
10分後、おかゆと水を持って澪のもとへと向かう。
「あーんってしてあげようか?」
「不要です」
澪は冷静にあしらいながらおかゆを口に運んだ。
「……美味しい、です」
そう言うと、比呂はにっこりと微笑んだ。
「……俺が言うのもおかしいけど、澪ちゃんちょっと無防備すぎじゃない? 男を簡単に家に上げるし、普通に寝まきでいるし」
比呂は真剣に澪を見つめながら言った。
「……別に、あなたなら大丈夫だと思ったから良いじゃないですか」
「え……」
澪の思いがけない一言に比呂は戸惑う。
「……ごほっこほこほっごほっ……」
「大丈夫?! 澪ちゃ……うわ、熱!」
比呂は澪の額に触れて、慌てたように澪をベットに寝かした。……だが、澪は比呂の腕を離さなかった。
「ちょ、澪ちゃん?」
困ったように比呂が言う。
離そうとするがそれでも離れない。
「……あのねえ、そんな格好で男に抱きつくとか……ありえないから」
澪は半分眠りかけているような感じだったが、頑固で離れない。
「襲ってくれって言ってる? それ」
そう言うと、比呂は澪を優しく抱きしめた。
続く