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　　　　　　　第4章　少女は世に知れる。

『「beautiful」のCMの美少女は一体誰だ？』
　
　澪のCMが流れ始めて、世間はどよめいた。
『CMに出演している少女は誰なのか？』という話題でネットは一杯だった。
　まるでそうなることを予測していたように長沢憲一は菊川澪の事務所所属タレントプロフィールを用意していていた。
　すぐさまホームページに付け足した。

『菊川澪　1997年9月29日生まれ』
『長沢健一プロデュース新人女優発掘オーディションで圧倒的な演技を見せつけた高校1年生。長沢が推す期待度№1女優』

　その情報はネット中を駆け巡った。

　澪も学校へ登校できるほどに回復した。
　学校へ行き、教室に入ると澪のもとへ皆が集まった。
「菊川！　お前女優デビューしたのかよ！」
「CM見たよー！」
　クラスメイトの声も聞こえないかのように澪は黙って自分の席に着いた。
　澪は分かっているのだ。普段あまり話しかけてこないのに、自分に話しかけるのは、芸能界で活躍する人々に会いたいと思っている人や、サインを欲しがっている人達だと。

「澪ーちょっと冷たいんじゃないの？」
　苦笑いしながら澪の友人、相楽千尋が話しかけてくる。