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Re: 広報部の青春な日々 ( No.20 )
日時: 2013/04/15 18:08
名前: 瑞咲 ◆7xuwBG6R9k (ID: eVCTiC43)

 11「足の速い人が出るのでいいですね?」



 クラスにも慣れ、部活にも慣れ、いつの間にか五月になっていた。
 今は水曜日の六時限目、ロングホームルームの時間だ。

 クラスの書記係が黒板に「体育祭の出場競技」と書く。
「…てなわけで、今日はこれを決めるぞ。んじゃ、あとはよろしくな、学級委員」
 一年三組の担任である島波先生(27歳・男性・独身・英語教師)が言った。

 辰巳高は毎年六月の初旬に体育祭を、十月初旬に文化祭を行っている。進学校でも実業高校でも、体育祭と文化祭を毎年交互に行う学校が多いので、よく珍しがられるのだ。

 仕事を任された学級委員が教卓の前に立つ。
「では、まずはリレーに出る選手を決めます。人数は男女四人ずつです。これは足の速い人が出るのでいいですね?」
 はーい、いいでーす、と返事。

 学級委員は体力テストの結果が載った名簿を開く。
「えーっと…男子は山野君、戸田君、それに…市川君と石田君ですね。この四人でいいですか?」
「え?俺も?」
 いいでーす、さんせーい、と声が上がり、決定してしまった。

「だってさ。がんばろーぜ、キョウ」
 同じく選ばれたユイトに肩を叩かれる。
「…まあ、いっちょやってやるか…」

 その後は希望制で決め、俺はリレーのほかに、二百メートル走と二人三脚に出ることになった。一人二競技出ることは必須で、運動神経がいい奴は必然的に三競技、下手すれば四競技出ることになってしまう。
 ちなみになぜか出場競技は三つすべてユイトと一緒だった。

「何の因縁だよ…」
「ま、いいじゃん」
「そうだけどな」

 まあ、これですべて決まったわけだし。
「これで決定だな。学級委員、ご苦労。あ、そうそう。部活入ってる奴は部活リレーにも出るかもしれないからな」
「えっ!?」
 ユイトと顔を見合わせる。

「せんせーい、部活リレーの概要を教えてくださーい」
 クラスメイトの一人が手を挙げた。

「いいぞ。えーと、部活の代表者六人が百メートルずつ走るリレーだ。どの部活も強制参加だぞ」
「「ええええっ!!??」」
 思わずユイトと叫んでしまう。

「あ、そっか。市川と石田の部活は四人だけだったな。じゃあ、誰か二人が二回走ることになるな」
「えー…」
「うそだろー…」

 がっかりする俺たちに、クラスメイトたちは声をかけまくる。
「がんばれきょーちゃーんゆいちゃーん!!」
「応援してるぜー!!」
「お前らなら大丈夫だろ、足速いんだからなー!!」

「はいはい…」
 何かいじられキャラ化しているような気がした。


 放課後、部活にて。
「先輩、体育祭の部活リレーのことなんですけど…」
 早速、先輩たちに聞いてみることにした。

「ああ、もうそんな季節か」
「概要については知ってます。で、誰が二回走るんですか?メイ先輩は確実ですよね?」
 すると、メイ先輩はさらりと言った。
「そりゃあキョウとユイトに決まっているじゃない」

「ええーーーーーー!?」
「何でですかあああ!?」
 俺たちはもちろん反対し………し、しまったあああああ!!!

「ふふふ…何か文句でもあるの…?」

「「ごめんなさいいいいいいいいいいいいい!!!!」」

 もう土下座する勢いだ。
 しばらく「そーだよな!俺たち一年なんだからなー!!」「だよなー!!」みたいな会話を繰り返していると、トモ先輩が口を開いた。

「二人とも、ちょっといいか?」
 いつにも増して真面目な口調に、自然と背筋が伸びる。
「何ですか?」

 トモ先輩はメイ先輩とアイコンタクトし、話し始めた。
「実は、いつも通りあまり知られていない情報を集めていたら、とある団体が隠密に行動している、という話を聞いたんだ」
「何て言う団体ですか?」
 先輩は一息おいて、告げた。

「…埋葬部だ」