コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 宮廷物語〜試練時々恋愛〜 ( No.119 )
- 日時: 2013/05/30 19:42
- 名前: 音 (ID: HFyTdTQr)
第四章 *2*
「しっ! 失礼しますっ! ちゅ、昼食を持ってまいりましたっ!」
カッチカチに緊張して入ってきたのは、エミリちゃんだった。
お盆を持つ手がぶるぶる震えている。
「大丈夫?」
「はい。ただ、カナエ様に会えると思うと緊張して……」
エミリちゃんはそう言って私から目をそらした。
「えっ? 私、そんなに怖い?」
「違いますっ! 嬉しいので、何かヘマをやらかしたりしないように——。すっ、すいませんっ!」
エミリちゃん、本当にかわいいよねー。もっと堂々とすれば良いのにな。
「私、失敗くらいで怒らないよー。あっ、お昼一緒に食べない? 一人ってちょっと寂しいから」
「カナエ様とっ!? そそそそんなっ!」
悪気は無いんだろうけど拒否されたことに地味にショックを受けながら、私はエミリちゃんの言葉を聞き逃しつつ机と椅子の準備をした。
もちろん、二人分。
「えっ、私——」
「いいからいいから! 食べよう?」
私が二人分用意してることに気が付いたみたいだったけど、強引に押した。
私が引かないのを悟ったのか、やっとエミリちゃんも椅子に座り食べ始めた。
——と思ったら……
「あらぁ? エミリ、何やってるのかしらぁ?」
「っ! すすすすいませんっ!」
「こんにちは」
なんか、あまり仲良くなれそうにない人がやって来た。
髪をくるっくるに巻いて、いかにも、私お嬢様ですの。みたいな態度。苦手なタイプ。
「……あんた誰?」
「ご挨拶が遅れました。臨時宮廷音楽家のカナエです。失礼ですが、あなたは?」
露骨に嫌な顔をされた。
気にしない気にしない!
こういう感じの子には、冷静に大人の態度で接するのが良いって聞いたことがある。
「ウザい」
——は?
っと、いけないいけない。つい思ってしまったけど、急にウザいって言われるなんて思わないもんね。
その子は、困惑する私に構わず話し続ける。
「あんたみたいな人、一番嫌いなのよ。私は清楚で優しいんです。みたいな態度の人がね! 本当は心の中で、何こいつ黙れよ。とか思ってるくせに」
わぁ。なんか私が思ってたのとほぼ同じこと言ってる。以外と仲良くなれるかも。と思ってると、ずっとびくびくしていたエミリちゃんが、その子に向かって怒鳴った。
「カナエさんはそんな人じゃありませんッ! 勝手なこと言わないでくださいッ! 用事なら後でお聞きするので今は出て行ってください!」