コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 宮廷物語〜試練時々恋愛〜 ( No.167 )
日時: 2013/07/26 19:31
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

〜参照500記念番外編〜
☆エミリ×ショウ Ⅰ

「ち、ちょっと! ややや、やめてくださいっ!」

 ん? うわー。なんだよ、あいつら。
 女の子一人相手に男三人とか。完全に嫌がってるのに、あの子。
 ……どうしよう。助けた方がいいのかな? でも、全然知らない子だしなあ。

 …………。

 うーわーーーーっ!
 やっぱり、見て見ぬ振りは出来ない! もうどうにでもなれっ!

「あの」
「ぁあ?」

 うわ。予想以上に悪そうな人達だった。
 三人共、やけに身長高いし体格もがっちりしてるし目つきは悪いし……。
 しかも俺、完全に睨まれてる。しかも三人に。ちょっと——いや、かなり辛いかもしれない。
 逃げるが勝ち!

「行こう!」
「えっ!? あ、あのっ!」

 俺は、女の子の手を掴んで走り出した。

〜*〜

「はぁ、はぁ」
「ここまで来れば大丈夫か……」

 女の子は肩で息をしている。結構走ったからな。
 俺達は、奇跡的に(と言っていいと思う)逃げ切れた。
 よし! もう俺には何もすることないし、行くか。

「あ、あの……」

 帰ろうとした時に、女の子に声をかけられた。
 引っ込み思案な子なのかな? なんか、一回も顔上げてくれないし。

「た、助けてくれてありがとうございましたっ!」

 す、凄い勢いで頭を下げられた……。

Re: 宮廷物語〜試練時々恋愛〜 ( No.168 )
日時: 2013/08/12 13:32
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

〜参照500記念番外編〜
☆エミリ×ショウ Ⅱ

「い、いや。そんな、お礼言われる程のことは——」
「してくださいましたッ!」
「ぬぉっ!?」

 その子は次に、凄い勢いで顔を上げて俺の手を掴み、グッと近づいてきた。

 ——その距離およそ20cm。

 ち、近い……。
 し、しかも、目を見てくれるようになったよ? ど、どうした、急に? スイッチかなんかが入ったのか?

「……はッ!」
「へ?」

 ちょっと黙ったかと思うと、その子は急に俺の手を離し、飛び退いた。

 ——その距離およそ2m。

 遠いよ今度は……。
 っていうか、凄いよね。最初の動きもさっきの動きも、2秒くらいだったけど? 動きが早過ぎるだろ。

「あわわわっ! す、すいませんでしたぁっ!」

 次は、あたふたし出した。彼女の顔は……赤い。
 うーわー! やめてー! 俺まで恥ずかしくなるからっ!

「はっ! そうだっ!」

 その子は背筋をピンと伸ばし、またお辞儀してきた。

「お、お願いしますっ! お、お礼をさせてくださいっ!」
「は、はぁっ!?」

 いや、俺、百歩譲ってお礼を言われるくらいの事はしたかもしれないけど、お礼をされるような事はしてないよなっ!?
 ……でも、その女の子はとっても真剣だ。

「え、っと、お礼って何を……」

 す、素直に厚意に甘えてみても良いかもしれないと思うことにした。
 すると女の子は、目をキラキラと輝かせて嬉しそうに笑って言った。

「お菓子と紅茶をご馳走いたします」

 おー。なんか今、すっごいいいトコのお坊ちゃんになったような気分だった——じゃ、なくてっ!

「え?」
「私、宮廷で働かせてもらってるので。それに、私が憧れている方……私がお世話させて頂いている方なんですけど、その方もお礼をした方がいいとお考えになると思うんです。あ、えっと、その方がそう仰るからお礼をしたいって訳じゃなく——」
「いや、もう分かったから……」

 喋りすぎ喋りすぎ。もう後半、聞く気なくなってたから。

「本当ですかっ! では! ご案内致します!」
「えっ、いや、違っ——」

 あー、引っ張られてるー。
 もー、知らないからなー。

☆エミリ×ショウ編    終☆