コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 宮廷物語? ( No.21 )
- 日時: 2013/05/17 22:58
- 名前: 音 (ID: HFyTdTQr)
第一章 *3*
「これからは、しばらく宮廷で暮らしてもらうよ。カナエ様」
…………
「へっ?」
はあ。宮廷暮らしになるんだ。
じゃなくて!
「だーかーらー」
「ち、違くて。お母様、病気なの?」
それがずっと聞きたかった。
「マジか。今更そこ聞くか」
ルトは呆れているというかなんというか、微妙な表情だけど、正直今までの話、あまりちゃんと聞いてない。
なんか、宮廷音楽家として宮廷に行くらしいということは分かったよ?
——とりあえず。 質問したから、ね。
でも、お母様の状態は全く分からない。さらっと言われただけだから。
重い病気だったらどうしよう……
ポンっと頭に何かが乗っている感覚がする。
「そんな顔すんなって。笑ってた方が可愛いんだから」
それがルトの手で、私の頭を撫でているんだと認識するまで、時間が必要だった。
「エマ様は大丈夫だよ」
そう言ってにっこり笑うルト。
かっこいい、のかな?
「今までの疲れがたまって、ちょっとした病気になっただけらしいから。でも、しばらくは入院していた方が良いみたい」
そうなんだ。ちょっとした病気なんだ。よかった。
「じゃあ、お母様は大丈夫なの?」
「そう言ったじゃん」
そう言って、私の顔を覗き込むルト。
「っ!」
ルトは、昔と違ってかっこよくなっていた。
ただ、その笑顔には昔の面影があって、なんだか懐かしかった。
「ルト相手に、赤くなる日がくるなんて思わなかった」
私がそう言うと、ルトはむっとした。
「じゃあ、大事な物だけもって」
ちょっとふてくされながら言うルト。やっぱり、かっこいいじゃなくてかわいいだな。
「今から宮廷に行くから」
そんなことを考えてると聞こえた言葉に確信がもてなくて、
「え? 今から?」
と、聞き返してしまうのは当たり前だよね?
「うん」
素っ気ない。さっきの、怒ってるのかな?
「みんなは?」
「カエ達は、エマ様が退院したら連れて帰る」
「ショウとエリは?」
「今日はゆっくりしてられないから。手紙を書いて置けば?」
なんか、ふれてほしくないみたい。厳しめな口調だけど、微妙に目が泳いでる。
「早く」
「あっ、うん」
私は、少し出掛けてきます。と手紙を書いて置いといた。
「よし。じゃあ行くか!」
「ちょっ」
体がふわっと浮いた。
「ぅわあっ!」
ルトにお姫様だっこされた
「お、降ろしてよ!」
「やだ。さっきの仕返し」
さっきって?
「ぁ……」
ルト相手に——のくだりのことか。
「やめとけば良かった」
「もう遅いよ!」
やっぱり、かわいい!
今、私ニヤニヤしてるんだろうな。
ルトが怪訝そうに見てるもん。
私は、そのまま宮廷に向かった。