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Re: 宮廷物語〜試練時々恋愛〜 ( No.76 )
日時: 2013/05/24 22:23
名前: 音 (ID: HFyTdTQr)

第三章 *3*

「カ、カエっ! なっ、何言ってるのっ! そんな訳っ……」
「カナエに彼氏ぃーっ!? なんであたしに言ってくれなかったの!?」

 私とエリが同時に叫ぶ。もちろん、エリが何て言ってるのか、全くわからない。

 そんなことよりっ! カエっ! なんてことを言ってくれるのっ!

「カナエに彼氏っ? ……ぅ、嘘だろ?」

 私とエリが叫び終わってからしばらくして、ショウがなんかぼそぼそとつぶやいた。

「はぁ。まあ、俺は別にそれでもいいかも……って、何言ってんだ俺っ!」

 それにつられたようにとんでもないことを口走ったルト。

 ルトに、何言ってるのっ? ってつっかかろうとした時——

「うるさいよ。今が真夜中だって分かってる?」

 カエが、とてつもなく冷静な指摘をしてきた。

 そっ、そうだけど。
 カエが変な事言うから、取り乱したんでしょうが。

 …………。

 なんでまた無言なの?
 っていうかカエ、なんでそんなにニコニコしてるのっ?

「カナエ、そいつ彼氏?」
「カナエその人、彼氏なの?」

 ショウとエリが同時に聞いて来た。

「だから、違うって……」

 なんかもう、説明するのも面倒になってきた。
 でも、なんでルトが私の彼氏だっていうカエの嘘を、二人共、こんなに信じてるんだろう?

「じゃあさ、なんでお姫様抱っこされてんの?」

 そっか。そういうことね。私がいつまでもルトにお姫様抱っこしてもらったままだったから、信ぴょう性があるのね?

 でも、わざわざそのことを出す必要ないと思う。

 私は、カエを思いっきり睨んでしまった。

「うーん。正直、姉ちゃんが睨んでもあんま怖くないよ?」

 反論しようと口を開きかけたところで、カエがまた、とんでもない爆弾を放り投げてきた。

「俺だから睨んだって分かるけど、他からみたら、色目を使ってるみたいに見えると思う」

 色目なんてっ!
 カエーっ! もう私、完全に切れたよ? これこそ、みんなの前で言うことじゃない!

「あのさ、そろそろこのくだり終わらね? 俺ら時間無いからさ」

 はっ、そうだった。
 ルトに言われなかったら、完全に忘れてた。さすが、執事だね。

「とりあえず中で話そうよ! ここ寒いし」

 エリが提案した。
 確かに。本当、寒いよねー、ここ。

「あと、いつまでお姫様抱っこされてんの? 誤解を少しでも解きたいんだったら、降りればいいのに」
「カエ? ちょーっと黙ってもらえるかなぁ?」

 怒らない怒らない。笑顔笑顔っと。

 私はルトの腕から降ろしてもらいながら言った。

 ん?

「皆どうしたの?」

 かなり驚いてる感じが?

「いや、その、あの」

 ショウ、かなり戸惑ってる?

 笑顔だったし、そんなに怒ってないよ?

「姉ちゃん、その笑顔、完全に怒ってるのばれてるから」
「……」

 決めた! カエには返事をしないようにしよう。
 なんか言ったら、また、それから言い返されそうだし。

「カナエ? 中入る?」
「そうだね。ちょっと寒いもんね」

 そんなに恐々言わなくても……。
 もちろん、エリとは話すんだから!

 なんか、皆の顔がほっとしたように見えるのは気のせい? だよね?