コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 宮廷物語? ( No.9 )
- 日時: 2013/10/28 19:27
- 名前: 音 (ID: HFyTdTQr)
序章 *4*
「おっ、カナエちゃん! 今日も良い野菜仕入れといたぞ! よって来な!」
右を向けば赤や黄色、緑など。様々な色で溢れている八百屋さん。
「カナエちゃーん! 家のお肉も買ってってよ! おまけしとくから!」
左を向けば大小様々な赤い色が映えるお肉屋さん。
「ゲンさん、トメさん! うーん、じゃあ——」
「まいどありー!」
「ありがたいけど、あんまり買いすぎちゃいけないよ」
「はい」
孤児院がある通りの隣の通りは、ちょっとした市場みたいになっている。八百屋さんからお肉屋さん、お花屋さんに雑貨屋さん——
石畳の道の脇に野菜や花、雑貨が並んでいる様子は、賑やかで大好きだ。
お店の人達はみんな、威勢が良くて明るくて、商売上手だから、いつも少し多めに買ってしまう。
それに、とてもフレンドリーだからすぐに仲良くなれた。
温かみのある、優しい人達ばかりだ。
少し小さめの通りだけど、活気があるからいつ通っても飽きない。
そんな通りの一角に、所々が崩れかけた孤児院がある。それでも、清潔ですよ?
「ただいまー!」
私は明るい気持ちで扉を開けた。
「おかえり! カナエねぇちゃん!」
ダッダッダッダッと、賑やかな音を奏でながら近づいて来たユウ君。私のことを好いてくれているみたい。
「うわっ! た、ただいま」
ただ、帰ってくるなり抱き付いてくる癖? は、直して欲しいな。
「カナエおかえり! って! またそんな買ったの?」
私を見るなり、呆れたような驚いたような表情で言うエリ。
ふと、お姉さんがいたらこんな感じなのかな? と思った。
「ユウ君、苦しい……。買ってないよ! ちょっと多めにしか。あとはおまけ」
またって言われたのは、前科があるからです——。
私が初めておつかいに行った時、大量に買ってしまったのです。
だ、だって、おつかいなんてしたこと無かったし! 梨好きだし!
——言い訳です。すいません。
「まあ、いいよ。っていうか、夜ごはん作って欲しいかな」
やっぱり、お姉さんのように言うエリ。洗濯かごを腕に抱えている。
「あっ、ごめんごめん」
ユウ君を半ば引き剥がしながら言った。
「カナエは、小さい子の相手と料理と掃除を少し手伝ってくれるだけで充分なのに」
洗濯物を慣れた手つきでたたみながら話している。さすがエリ。今は、お姉さんじゃなくてお母さんみたい。
「だって、買物楽しいじゃん」
散歩がてらの買い物は、もはや私の日課になっている。通りの活気や毎日変わる景色を眺めるのは、本当に楽しい。そこで、楽器の演奏がしたいといつも思う。
「はぁ。まあいいんだけど」
そういえば、なんでユウ君いるんだろう? 今はショウ達と遊んでいる時間のはず。
また抜け出して来たんだ。なんで連れ戻さないのかな? いつものことだからかな。うん。
私の担当は、小さい子の相手と料理と掃除を少し手伝う事。
エリの担当は、掃除と女子用の洗濯。
ショウの担当は、小さい子の相手と男子用の洗濯と掃除を少し手伝う事。
カエの担当は、小さい子の相手と買い出しやその他雑用。
ただ、ユウ君もユカちゃんも手伝いを良くしてくれるので、全く苦痛でない。
「ただいま〜!」
私以上に元気良く扉を開けて帰って来たのは、栗色の割合が多めの金髪で私と似ている目の色のもち主のカコ。私の妹だ。とってもかわいいんだよね。
「あっ、おかえり、カコ」
ショウ達も、リビングに集まって来た。何をやっていたんだか。みんな汗だくだ。エリは騒音の中、家事をしていたんだね。
「今日もいっぱい売れたよ! さすがあたし!」
来ました。カコちゃんの『さすがあたし!』。別にナルシストじゃないみたいだけど。受け狙いってやつですね。
カコは私達のムードメーカーっていうか、ボケ担当です。
「自分で言うなよ!」
こう突っ込むのは、やっぱりショウ。でも、これは習慣になってしまった会話。
カコは、社交性があり商売上手なので、皆が作った物を売ってきてくれる。
私は寝る前に少しずつストラップを作っている。
これが、カコの商売センスかエリやショウ、皆の作る物がいいのか、良く売れるんだよね。
多分、どっちもあるよね。