コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼なじみから恋人までの距離(4月27日開始) ( No.10 )
- 日時: 2013/05/01 19:21
- 名前: あるゴマ ◆Dy0tsskLvY (ID: Ba9T.ag9)
とまぁ、そんなこんなで香凛の『男嫌いを直して素直になろう作戦(勝手に命名)』に協力する事になった。
昨日のその後。
「責任、取んなさいよ」
何をおっしゃってるんだこの鬼さんは。
そりゃ、勝手に手帳を見た事は悪かった。謝る。
けど、責任取れとは何事か?
「嫌だよ。めんどうだし」
そう言った瞬間、足のスネをおもいっきり蹴られた。
「ぐぉっ!!」
某有名なRPGなら、痛恨の一撃!! 勇者は死んでしまった……であろう威力だ。
「あんたねー!! 女の子の秘密知っておいて、関係ありませんとか言えると思ってんの?」
無慈悲な鬼……いや、魔王はうずくまる俺を見下ろしてそんな事を言う。
父さん……やっぱり魔王城に行くときは、仲間って必要だね。もう、ライフがゼロだよ。
「……秘密って、そんな大した秘密じゃないだろ? それに誰にも言うつもりねーし」
俺がそう言うと、香凛はうつむき肩を震わせる。
そして次の瞬間——香凛は空中に居た。
「このっ……バカーーッ!!」
「ぐぉっふ!!」
真空とびひざ蹴りが、俺の脇腹にクリティカルヒット。
そのままベッドに倒れ込む俺。
何これ? ここは闘技場なの?
「あんたにとって大した事でなくても、私にとっては大した事なのよ!!」
香凛が何か言ってるが、脇腹が痛くてそれどころじゃない。
とりあえず魔王の怒りを鎮めなければ。
「……暴力は良くないぞ。キング牧師も言ってたろ?」
「あんたが悪いんじゃない!!」
うーん、対話って難しいよな。
しかし、諦めてしまったら和平交渉が決裂して、死亡フラグがたってしまう。
「……わかった。世界の半分で我慢してやる」
「…………」
無言で睨まれた。
軽いジョークでなごませようとしたが、失敗だったか。
「はぁ、あんたマジメに聞く気ないでしょ? もういいわよ……どうせ……」
最後の方はゴニョゴニョ言ってて聞こえなかったが、うつむいて肩を落とす姿を見ると、なんだかいたたまれない気持ちになっていた。
「悪かったよ。俺ができる事なら協力すっから」
「……絶対?」
香凛はまるですねた子供のようで、不覚にも少し可愛く見えた。
「あぁ、絶対」
その後、二人で作戦会議がおこなわれた。
香凛が言うには、中学時代が女子校だったせいか、男子に話しかけられたりすると、どうしたら良いかわからずツンツンした態度になってしまうんだとか。
小学校の時は共学だったんだけど、その頃からだっけか?
とにかく、自分でも直したいと思ってるけどどうしようもできなくて悩んでたってわけだ。
まぁ、俺の考えた作戦が上手くいけば香凛の悩みも解決。
俺の身の安全も保証される訳だ。
というわけで翌日、俺は朝から香凛を待ってたりする。
男子なら朝一緒に女子と登校なんて、誰もが羨ましがるシチュエーションだろう。
だが違うんだ。
魔王が降臨してきて、隣りにいても別のドキドキなんだよ!!
昨日の真空とびひざ蹴りはもうくらいたくない。
「ねぇ。あんた今失礼な事考えてなかった?」
「おわぉっ!!」
急に後ろから声をかけられて、勢いよく声を出してしまった。
「……脅かすなよ。来たなら来たと」
「着いてたけど、ブンブン頭振ったりしてたから近づきたくなかったのよ」
「…………」
朝からキツいやつだ。
せっかく俺がナイスな作戦を考えてきてやったのによ。
結局登校する間も、これといった会話もなく終始無言のままだった。
やれやれ。こんなで大丈夫かな?