コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 幼なじみから恋人までの距離(13) ( No.17 )
- 日時: 2013/05/06 19:14
- 名前: あるゴマ ◆Dy0tsskLvY (ID: Ba9T.ag9)
その日の夜。
ベッドに寝っ転がり、夕飯の間までゴロゴロしていようかと思っていると、部屋の扉からノックが聞こえてきた。
コンコンコン。
「はーい?」
返事をしつつ、扉を開けるとそこには見知った顔の人物が居た。
「雪乃? なんでお前俺ん家に居るの?」
「えへへ……今日家で煮物作りすぎちゃったから、良かったら翔君の家におすそ分けしようと思って来たら、夕飯にお呼ばれしちゃった」
なるほど。
さては、母さんあたりの仕業か。
うちの親と、雪乃の親は仲がいい。必然的に俺達の交流も多くなって、夕飯に呼ばれたりもする。
最近は少なくなってきたが、久しぶりに雪乃が来たもんだから「良かったら食べていけば?」などと言ったのだろう。
「ふーん」
「な、何でそんな反応するの? もしかして翔君迷惑だった?」
雪乃は心配そうに、俺の顔をうかがう。
「いや、別に迷惑じゃないよ。なんか久しぶりだな〜って思っただけ」
「そっかぁ。良かった安心したよ〜」
そう言って安堵のため息をもらす雪乃。
ってか俺はそんな嫌なやつじゃねーよ。
しばらくして、一階のリビングで俺と俺の家族と雪乃で食卓を囲む。
今日の夕飯は、雪乃が持ってきてくれた煮物と、生姜焼きだった。
サラダや味噌汁に漬け物もある。
料理を口に頬張りながら、俺と俺の家族を含めた会話が始まる。
「雪乃ちゃんありがとね〜。この煮物、雪乃ちゃんが作ったんでしょ? とっても美味しいわ」
母さんは上機嫌で雪乃に話しかける。
あるよね……こう、自分家の家族と同級生が話してると微妙になる気持ち。
うん、俺が今そんな状態です。
「いえいえ〜。気に入ってもらえたなら嬉しいです」
雪乃はおっとりボイス+ほんわか笑顔でそんな事を言う。
確かに昔からよく家に来てたけど、馴染み過ぎだろお前。
「それで、雪乃ちゃん。最近の翔なんだけど、どう? 学校で上手くやってる?」
母さんは雪乃に問いかける。
あるよね……こう、自分家の家族と同級生が、自分の話しをしてると微妙になる気持ち。
うん。そういう話しは本人が居ない所でするものだよ。
「翔君ですか? はい。最近楽しそうにしてますよ〜。昔この辺りに住んでた香凛ちゃんって子が居たんですけど、最近になってまた戻ってきて、同じ学校の同じクラスになったんです」
つらつらと雪乃は嬉しそうに語る。
「それで、翔君ったら香凛ちゃんが心配で色々お世話やいてるんですよ〜」
雪乃……あまり余計な事を言わないでくれ。
しかもそれは俺がしたくてしてる訳じゃない。
うっかりデスノートを見てしまったせいで、そんな事態になってるんだ。
そんな俺の心の願いもむなしく、会話は横道にそれていく。
「本当にもう、雪乃ちゃんが翔のお嫁さんになってくれたら嬉しいんだけどね」
「ブッッ……!!」
母さんの一言に味噌汁が、俺の口から噴水のように飛び出した。
「あら……何やってるのあんた? 食事中に遊んでちゃダメよ」
「ゴホッ……ゴホッ!!」
味噌汁を吹き出したのは、主に母さんのせいだけどね!!
「だ、大丈夫? 翔君」
雪乃は心配な顔で、俺にティッシュをさしだしてきた。
「あ、あぁ」
「父さんも、雪乃ちゃんみたいな子がお嫁さんなら大歓迎だ」
今までずっと無言だった父さんが、そこだけ賛同してきた。
なんなんだ……この家族ぐるみの包囲網は?