コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼なじみから恋人までの距離(14) ( No.18 )
- 日時: 2013/05/08 19:16
- 名前: あるゴマ ◆Dy0tsskLvY (ID: Ba9T.ag9)
和やか? な雰囲気のまま夕飯は終わり。
俺と雪乃は、俺の部屋に来ていた。
「で、雪乃は帰らないの?」
夕飯も食べたし、これ以上家に居る事もないと思うのだか。
「まぁ、まぁ〜。良いじゃないか〜。せっかく久しぶりに来たんだし」
雪乃は少しくだけたトーンで、俺の肩をポンポンと叩く。
夕飯は久々だけど、この前の朝来ただろ。
「別に良いけどな。あんま遅くなると、雪乃の母さん心配するんじゃないかって思っただけだよ」
「翔君、やっさし〜。でも大丈夫だよ〜。今日は帰らなくて大丈夫なのです」
雪乃はほんわか笑顔と、わざとらしい感じでピースサインをする。
帰らなくても大丈夫ってどういう事?
「明日ってお休みでしょ? だから今日は翔君の家に泊まっていく事になったんだ〜」
「はい……?」
ほんわか笑顔で、かなりでかい爆弾を投下していく雪乃。
「今日は久しぶりに一緒に寝れるね〜。昔はよく枕を並べて寝たよね」
「いやいや、マズいだろ? ってか歩いて一分もかからないんだから帰れよ」
誤解がないように説明しておくが、俺が雪乃と一緒に寝たのは、はるか遠い昔の事。
まだ男女の隔たりがない小さな頃だ。
だけど、今は違う。
健全な高校生の俺を寝不足と、心臓麻痺で殺す気なのでしょうか?
「ん〜、問題ないと思うんだけどな」
問題あるの!! 大ありなの!!
このおっとりさんは危機管理能力が無さ過ぎだろ。
「問題ありすぎだから。とにかく家に帰りなさい」
そう言うと、雪乃は何かを考え込むようにして、やがて何かが閃いたかのように笑顔になる。
「じゃあ、翔君がうちに来れば良いんだよ〜」
閃いたアイデアは、今よりなおさら悪かった。
俺にサファリパークに肉巻いて入れと言うのか?
家まで行って、「すいません。今日娘さんの部屋で一緒に寝て良いですか?」と言えと?
雪乃のお父さんに殺されてしまうよ!!
「却下だ。……それに、うちの母さんとか父さんもここで泊まりなんて許す訳ないだろ?」
「翔君のお母さんとお父さんなら、大歓迎だって喜んでくれたよ〜」
あの夫婦……っ!!
ちっとはモラルとか色々考えろよな!!
雪乃の邪気のない笑顔と、家族公認の言葉に俺は首を縦に振るしかなかった。
まったくおかしな話しだよな。
わざわざ俺の部屋で一緒に寝る事ないと思うんだよ。
普通、同じ世代の女の子なら警戒して、同じ布団で寝ようものなら絶叫して然るべきだ。
「えへへ」
上機嫌な雪乃の、綺麗なゆるふわロングの髪が寝返りで揺れる。
それに結局、「パジャマ取りに行くね」とか言って家に戻るなら、そのまま自分の家で寝りゃ良かったのにさ。
ちなみに一緒のベッドで寝ているわけではない。
雪乃にベッドを譲って、俺は床に予備の布団を敷いて寝ている。
……まっ、当然だよね。
マジで一緒に寝たら、俺死ぬかもしれないもん。
主に心臓麻痺的なもので。負荷が半端なくかかると思うよ。
「ねぇ、翔君。なんかお話ししようよ」
雪乃が話しかけてくる。
部屋の電気は消えているが、窓から入る月明かりに照らされて、この部屋は結構明るく感じる。
「話し? そうだなぁ〜……雪乃はさ、香凛の事どう思う?」
俺がそう言うと、雪乃は目を一瞬丸くした後、にこやかな笑顔になる。
「へぇ〜。翔君、香凛ちゃんの事気になるんだ〜」
「ちげーよ。あいつのさ、昔の印象ってどうだった?」
正直な話し、子供の頃の記憶なんて曖昧なものだから、俺が記憶しているイメージと、雪乃が記憶しているイメージは違うかもしれない。
「昔の香凛ちゃんの印象? うーん、よく笑ったり泣いたりして素直な子だったかな?」
「そっか」
俺の記憶とほぼ同じか。
やっぱり香凛はこの何年かで変わったのかな?