コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼なじみから恋人までの距離(15) ( No.21 )
- 日時: 2013/05/10 19:06
- 名前: あるゴマ ◆Dy0tsskLvY (ID: Ba9T.ag9)
「翔君は、香凛ちゃんみたいな子が好きなの?」
雪乃が唐突に爆弾を落とす。おっとりさんは、奇襲攻撃が好きだね。
「だーれが、あんなツンツン女。俺のタイプはもっと安らげる人だよ」
「ふ〜ん。翔君にとって安らげる人ってどんな人?」
俺にとって安らげる人?
うーん、そう言われると困るな。
やっぱり、おだやかな性格で、安心できて、グーで人を殴らない人?
「うーん、言葉に表すのは難しいな」
まぁ、おだやかという点なら雪乃が近いかもな。
「そっか〜」
そんな会話から、くだらない雑談まで俺達は話しを続けた。
「そうだ。雪乃に一つ相談があるんだけど」
「ん? 何〜?」
相談と言うのは他でもない。香凛の事だ。
どうにもこうにも、作戦が失敗してばかりで上手くいかない。
ここは人付き合いの達人の知恵を借りるとしよう。
「俺の友達の話しなんだけどさ、そいつ周りと上手くやりたいんだけど、人前だと逆の態度とっちゃうんだよ」
俺は香凛の事だとは言わず、上手く話しをした。
「ん〜、具体的にはどういう態度をしちゃうの?」
「そうだなぁ〜……限界がくると、ぶ厚い本で人を殴ったり、グーで人を殴ったり……」
俺はできるだけ上手く話しをした……はずだ。
「……う〜ん、過激な人なんだね〜」
上手く伝わったような、伝わってないような。
その後、かなり上手く話しを軌道修正して雪乃に相談内容を伝えた。
「つまり、素直になりたいって言うか、ギスギスした感じをなくしたいんだよ」
俺がそこまで言うと、雪乃はうーんっと考えこむ。
「う〜ん、無理に直す必要はないんじゃないかな〜? もちろん人を殴ったりするのは良くないけどね」
雪乃はおっとりボイスで、さとすように話す。
「そうなのかな?」
「うん。長所と短所は誰にでもあるからね〜。それは個性なんじゃないかな? 私だって直したいところはあるしね」
みんながみんな、雪乃のようなタイプなら平和だろうな。
ってか雪乃が直したいとこってどこだよ?
「でも、それじゃ解決にならないだろ?」
「変わりたいって思う事も、もちろん大事だけど、今の自分を認めてあげるって事も大事なんだよ?」
「はぁ……」
なんか哲学的でよーわからんのだが。
「ゆっくりで良いんだよ〜。翔君」
そう言いながら微笑む雪乃を見ていると、なんだかおだやかな気持ちになっていた。