コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 幼なじみから恋人までの距離(24) ( No.38 )
- 日時: 2013/05/26 17:38
- 名前: あるゴマ ◆Dy0tsskLvY (ID: Ba9T.ag9)
——そんなこんなで現在に至る。
最初は二人も居なくなったのだからすぐ見つかるだろうと、高をくくっていたが、時間が経つにつれ不安が大きくなっていた。
「翔君、そろそろ授業始まったかな〜?」
雪乃にそう言われ、チラッと携帯で時間を確認しようとしたが、携帯が昨夜充電していなかったせいか電池切れをおこしてしまっていた。
結構前から気づいてたけど、習慣で確認してしまう。
しかしなんとなく、外が静かな事から予想はつく。
運が悪い事に、この時間は体育館を使うところがないらしく、周りに人の気配がない。
「あぁ、とっくに始まってると思うよ」
「私たち、このままずっとなのかなぁ〜?」
雪乃のいつものおっとりボイスに不安が混じる。
「いや、それはないだろ。放課後になれば部活で使うし、最悪そこまでの辛抱だよ」
「そうだよね〜。私、頑張る」
雪乃はそう言うが、不安の色は隠せない。
あと、頑張るってなにを頑張るんだ?
「まっ、せっかくだしゆっくりしようぜ。堂々と授業をサボる口実ができたんだし」
俺はマットの上にゴロンと寝っ転がる。
すると、雪乃が肌が触れあうくらいの距離まで近寄ってきた。近い、近いから。
「どうしたんだよ?」
「う〜んと、私、暗いとこってちょっと苦手で」
それでさっきから落ち着かないのか。
ん? でも、家に泊まった時だって電気消してたし、暗かったんだけどな。確かに月明かりはあったけどさ。
「でも、家に泊まった時は電気消してたじゃないか」
「あれは、翔君が隣りに居てくれたからだよ〜」
俺にそんな精神安定剤みたいな効果はないと思うんだが。
まぁ、そう言われるとちょっとくすぐったく感じてしまう。
「だから……ちょっと、隣りに居ても良いかな?」
そんな風に言われると、ちょっとドキドキしちゃうだろ!!
照れ隠しのため、俺はぶっきらぼうに返した。
「別に良いけどよ」
「えへへ。ありがと」
暗くてハッキリは見えなかったが、雪乃は嬉しそうな顔をしていた気がする。
「翔君、マットの上に寝てて頭痛くないの?」
不意に雪乃がそんな事を聞いてくる。
「ん? あぁ、別に大丈夫だよ。なんならタウンページとかが枕でも寝れる」
あと、少年なんたらとか厚い雑誌のやつでもな。
「首痛くなっちゃうよ〜。ん〜、じゃあどうぞ」
そう言って、雪乃は正座して自分の膝をポンポンと叩く。
何が「じゃあ」なのかわからないし、それって付き合いたてのカップルとか、新婚夫婦がやるやつだよね?
そんな羞恥プレイしたら死んじゃう。主に心臓麻痺的なもので……って前にもこんな事言ったな。
「ばっか。そりゃ恥ずかしいっての!!」
「ん〜、でも誰も見てないし大丈夫だよ〜」
いやいや、誰も見てないとか、見てるとか……見てるのは嫌だけど。
たまに思うんだけど、雪乃ってやってて恥ずかしいとか思わないのかな?
もし俺が同じ事やったら、あまりの恥ずかしさに校庭を全速力で走りまわるよ。