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Re: 幼なじみから恋人までの距離 ( No.67 )
日時: 2013/06/16 18:57
名前: あるゴマ ◆Dy0tsskLvY (ID: Ba9T.ag9)

雪乃の告白から二日後の朝——。

昨日、雪乃は学校を休んだ。
香凛とはまあ、相変わらずなんだが。

いまだ明確な返事もできないまま、日々の生活は過ぎていく。
どうしたら良いのかわからないっというのが、今の正直な気持ちだ。


「行ってきます」

今は少し憂鬱な気分で、空は晴れていても、俺の心は曇り空だ。
玄関の扉を開けて、外へ出る。

すると、そこには見知った人物が居た。


「お、おはよ。翔くん」


今まさに頭を悩ませていた人物、雪乃だ。
しかし、少し雰囲気が違う。

「…………」

しばしの沈黙の後、数秒くらい雪乃に視線を集中すると、髪型が変わっている事に気づいた。

「髪型、変えた?」

「えへへ。わ、わかった〜?」

俺がそう言うと、雪乃は嬉しそうに笑う。


いつもは、ゆるふわロングの髪をおろしているだけだった。
それが今日は肩より少し長いロングの綺麗な髪を、頭の下の位置でまとめて横に流している。

いわゆるポニーテールのサイド版というやつだろうか。

「わかるよ。ってか大分雰囲気変わるな」

「へ、変かな?」

雪乃は不安げな表情で、俺の顔をのぞき込むように見つめてくる。

もともと、ひいき目なしで雪乃は可愛いので、どんな髪型にしても基本的に変とか、マイナスになる事はまずない。

何ていうか、俺の印象は「大人っぽい」って感じだった。

「変じゃないよ。似合ってるし、大人っぽいっていうか、新鮮で良いんじゃないか」

「えへへ。そっか、良かったよ〜」

雪乃は、心底安心したような、安堵のため息と笑みがこぼれた。


その後、二人で並んで歩き出す。

心配してたようなギクシャクどころか、その話題にすら触れないので、卑怯というか、罪悪感を感じたが、今は俺もそれには触れない事にした。

「翔くんはさ、どんな髪型が好きなの?」

「へっ? 何で?」

不意打ちの質問に少し戸惑ってしまう俺。

「いやぁ、翔くんが好きな髪型を参考にしたいな〜って思いまして」

「…………」

これはさすがに俺でも気づく。
自分でこんな事は言いたくないし、思いたくもないが——。

つまり雪乃は、俺のために色々と自分を変えようとしているのだ。

「俺はその人に似合ってれば良いと思うから、とくに好みとかはないかな」

ついそんな曖昧な事を言ってしまう。

「そっか」

雪乃は、うんうんと頷いて自分の髪を触っていた。