コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 恋桜 ( No.18 )
日時: 2013/04/29 23:25
名前: リア (ID: exZtdiuL)


*徹side*

俺は人波を掻き分け、クラス発表を見た。

俺の苗字は”逢坂”なので、恐らく1番か2番だろう、と目星を付けつつA組から順に名前を見ていると、B組の欄に俺の名前があった。

そして俺の名前の下には”浅井凜”とあり、さらにその下に”綾川真奈”とあった。

その時の俺の喜びは生涯、誰も言葉で表すことは出来ないだろう、と思えるほどだった。

暫くじっと自分の名前と綾川さんの名前を交互に見てから、ようやく我に返り、綾川さんにも伝えなくては!という一心でもう一度人波を掻き分け綾川さんの待つ場所へと向かった。


「おーい、綾川さーん!俺たち同じクラスだよー!!」


俺は綾川さんの姿を見つけるや否や、すぐに声を掛けた。

すると、綾川さんもすぐにこちらに気付いたようで、大きく手を振りながら


「逢坂くん!こっちー!」


と言ってくれた。

先程よりも随分と言葉が滞りなく発せられているような気がする…。

気のせいか。

そんなことを思いつつも、笑顔で手を振りかえしてくれたことに有頂天になりながら、綾川さんの元へ駆けていった。


「あ、綾川さん!聞こえたかもしれないけど…って、その人誰?」


すると、綾川さんの隣には不機嫌そうな男子がいた。

その男子が普通のルックスなら俺にもまだ余裕があったのかもしれないが、残念ながらその男子は男の俺から見ても、素直に格好いいと思ってしまうほどだった。

多分、俺の顔は今物凄く歪んでいると思う。


「えっと、あの、その二人とも何で怒ってるのかはよくわかんないけど、一応紹介しとくね!」


綾川さんは睨み合う俺たちを見ておろおろしながらそう言うと、紹介をし始めた。


「凜。この人はね、逢坂徹くん。通学中にちょっとアクシデントがあって、そこを助けてくれた人なの。で、逢坂くん。こっちはね、幼稚園の頃からの付き合いの浅井凜。いつも人見知りの私を助けてくれるの」


綾川さんがそう言い終えると、俺たちは急に表情を変えた。

そう、笑いあったのだ。

そして、誰も何も言ってはいないが、お互いに進んで手を出して握り合った。

勿論、平和的な握手ではない。

宣戦布告の握手である。


「よぉ、よろしく。徹くん?」


これはどうもご丁寧に。

向こうから喧嘩を売ってきたではないか。

売られた喧嘩は買わないとね。


「どうも初めまして凜くん。君とはあまり仲良く出来なさそうだけどね」


俺はそう言って、凜くんに応戦した。