コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋桜 [絶賛三角関係中!] ( No.36 )
- 日時: 2013/05/05 20:15
- 名前: 華憐 (ID: exZtdiuL)
「え…?」
私は驚いて目を見開いた。
そして、再び尋ねる暇もなく、先生からの招集がかかった。
「これから入学式だ。君たち1年生は、堂々と胸を張って、歩きたまえ」
恐らく、私たちの学年主任であろう、少し頭の露出度の多い50代くらいのおじさんが私たちを見渡しながら言う。
それに、私たちは黙って頷く。
「よし、それじゃあ入場だ」
そう言って、そのおじさんが、今までしまっていた講堂の扉を開けた。
そして、私たちの前に講堂に足を踏み入れた1-Aの子達が物凄い拍手で迎えられるのが聞こえた。
「す、凄いな」
滅多に感激しない凜がそう呟いた。
そんな様子に私は小さく笑みを零しながら、適当に相槌を打った。
すると、何かを私の声を聞いて思い出したのか、凜が私の方へ振り返った。
「何?」
「そういえば、お前、いつ枝下と仲良くなったんだ?」
「美樹ちゃん?えーっと、美樹ちゃんとは…無理矢理腕をつかまれて、ここに向かう途中に色々話して仲良くなったっていうか…」
「…そうか」
「でもなんで?」
「いや、お前がすぐに人と馴染めるなんて、成長したんだなーと」
「そうだよ!私だってただの高校生じゃないんだから!それに身長だって…」
「あー、はいはい。そのことは…」
凜がそう言いかけた途端、先生からの罵声が飛んできた。
「そこ!何話してる!次はもうお前たちなんだぞ?」
「す、すいません」
「…すいませんでした」
私たちは同時に頭を下げ、3秒ほどしてから顔をあげた。
すると、名簿番号1番の逢坂くんが講堂に足を踏み入れるところだった。
それを見た凜は慌てて後を追い、私もそれに倣った。
- Re: 恋桜 [絶賛三角関係中!] ( No.37 )
- 日時: 2013/05/06 09:55
- 名前: リア (ID: exZtdiuL)
講堂に入って行くと、すぐに分かったことがあった。
上級生の女子、皆が逢坂くんと凜に熱い視線を送っているということだ。
そりゃそうだろう。
だって、一番目に付くところに、イケメンの2人がいるんだもの。
気付かないほうが逆におかしいくらいだ。
「何か緊張するね」
「あ?男子に見られてるからか?」
「そ、そんなわけないでしょ!私が男子に見られるなんて…うん、有り得ない」
「そうかねー?」
そう言って前を向く凜。
何でも知ってる、みたいな顔して。
少しイラッと来たが、行進中なので抑える。
「そのまま名簿順に横一列に椅子に座ってけー」
先生からの指示が出て、私たちはそれに従う。
そして、1年生全員が椅子に座り終えると、入学式が始まった。
恒例の長い長い校長先生の話を寝ずに聞き、PTA等のお偉いさんの話も真面目に聞き、いよいよ入学式の最後に差し掛かった頃、入試をトップで通過した人が読み上げる”式辞”がやってきた。
何となくではあるが、これを私は楽しみにしていた。
一体どんな人が読み上げるのだろうか、と。
そして、いよいよその時がやってきた。
『新入生代表、式辞。新入生、起立!…礼』
私たちは副校長先生がマイクから出す指示に従い、椅子から立ち上がって壇上に向かって礼をする。
そして、顔をあげて周りを確認する。
すると、1人だけ歩みを進めようとしている者がいた。
そう、それは…逢坂くんだった。
私はなるほど、と心の中で納得しながら、逢坂くんが壇上に上がるのを見守った。
そして、逢坂くんが壇上に上がり、校長先生の前まで行くと、一例をして、式辞を読み始めた。
『桜が咲き、菜の花が咲き乱れる今日この頃。僕たちは……これで式辞とさせていただきます。平成25年度新入生代表、逢坂徹』
『新入生、起立!礼』
再び私たち新入生が壇上に向かって頭を下げていると、階段を下りる音がした。
そして、私たちが頭をあげ、座るころには、階段を下り終えた逢坂くんは元の席へと戻っていた。
…どんどん時は流れて入学式も閉式を迎えた。
『…これで入学式を閉式とさせていただきます。一同起立!礼』
こうして私たちは再び頭をあげた後、それぞれの思いを胸に、式場を後にしたのだった。