コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 君はまだ愛を知らないでいる【短編集】エピソード10、11更新 ( No.74 )
- 日時: 2013/07/21 21:11
- 名前: 朔良 (ID: 2IhC5/Vi)
episode12 「貴方が好きです〜赤薔薇の物語〜」
若松詩織。19歳で結婚し、結婚半年になる。
大好きな夫は24歳の若松樹君。
優しくて頼りになる人です。
私達は二世帯住宅暮らし。少し不自由なところもあるけれど、結構楽しく暮らしてる。
今日はスーパーへと私が食料を買いに行く。その途中、近所のおばさん達と会ったので軽く挨拶する。
「こんにちは」
「あ、ああ、こんにちは」
たどたどしい感じで返してくる。
私はとりあえず歩き出す。その時、後ろから声が聞こえてきた。
「ほら……若松さんのところのよ」
「ああ……奥さんまだ10代だし……遊んでそうよね」
「ええ。旦那さんが可哀想だわ」
な、なんだって?!
私は絶対、樹君を裏切ったりしない!
——という話を夜、樹君に話した。
「——ねえ! 心外だと思わない?」
「うーん……一理あるとも思うんだ」
樹君から返ってきたのは火に油を注ぐような言葉だった。
「詩織はまだ若いし……俺が無理やり結婚してもらったようなものなんだ」
私はその時、人生で一番ではないかと思うくらい大声を出した。
「樹君の馬鹿! 最低!」
自室に入り、扉を閉めた。
「詩織!」
樹君に名前を呼ばれたが何も反応しなかった。
次の日、私は樹君が仕事に行ってから、外に出た。
私の『愛』を示す為に。
「ただいまー……」
樹君が夜、帰ってくる。私はどたばたと音を立てながら玄関へと向かった。
そして、花束を投げつけるようにして渡した。
「な、なにこれ……薔薇?」
樹君は戸惑ったように苦笑いした。
渡したのは真っ赤な赤い薔薇。
「私は無理やり結婚したんじゃない! 私の意志で結婚しようと思ったの! 樹君が好きだから!」
私は叫んだ。
この気持ちが届くように。
この気持ちに嘘や偽りがないと伝わるように。
「赤薔薇の花言葉は『愛情』『模範』『貞節』『情熱』だよ」
最後にこう伝えた。
そう言った途端、私は抱きしめられる。
「……不安だったんだ、まだ詩織は若いし、もっともっと遊びたかったり、青春を送ったりしたいんじゃないかって……」
「ずっと、ずっと不安だったんだ……!」
こんなに本音を伝えてくれたのは初めてだった。
初めて、私の前で弱音を吐いてくれた。
そのことに嬉しさを感じる。
「今夜は……離したくない」
……こんな大胆な姿も初めてだった。
「詩織が何を思ったって知らない。泣いたって知らない。俺の好きなようにするから」
「え、え?」
言葉に意地悪さを感じ、変な声が出る。
その後、どうなったのか。
それは皆さんの御想像にお任せしよう——。
赤薔薇 花言葉……「愛情」「模範」「貞節」「情熱」
登場人物
若松詩織 shiori wakamatu
若松樹 ituki wakamatu