コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 羊との遭遇【1】 ( No.1 )
- 日時: 2013/05/07 22:32
- 名前: ゴマ猫 (ID: 7ZYwzC8K)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=32225
プロローグ
お前の記憶が無くなる。
もって3ヶ月だ。
まさか、そんな事ある訳ないだろ。
あの時、俺はそう思っていたんだ……。
自宅から、歩いて5分で行ける神社。
長い石段を上がり、空を見上げると、夜空には満天の星が広がっていた。
まだ深夜という訳ではないが、用もなく好き好んで、この時間に神社に来る奴は居ないのだろう。
境内は人1人居なく、静寂に包まれていた。
そんな静かな中で、俺 桜井洋一 は、必死に祈っていた。
「どーか、高校生活が充実しますよーに!!」
……神頼みだ。
明日から新生活が始まる。
俺の中学時代は色あいがなかった。
たとえるなら、モノクロ。
寝るのが大好きで、人と話すのすら、めんどくさいと思ってしまう俺は、授業が終わると速攻で帰宅して、寝る、寝る、寝る。
某有名な国民的アニメの眠りの天才キャラに、共感を抱いたのは、世界広しといえど俺だけだろう。
話がそれた。
そんな訳で、というか当然かもしれないが中学時代に仲間でワイワイやった記憶がない。
友達の誘いも断り、授業中も隙あらば寝る。
これでよく高校に入れたもんだ……奇跡だね。
だけど、ふと思ったんだ。
思い出がないのは寂しいって。
ここの神社は昔から場所だけは知っていた。
でも来たのは今日が初めてなんだけど。
羊神社ってちょっとおかしな名前。
まぁ、世の中には兎がまつられた神社とかもあるみたいだけどね。
そういう所も今年の干支とかになったりすると、普段は閑散としてても遠方から来る人でいっぱいになるみたいだ。
俺は特に意味はないんだけど、近場の神社っていったらここしかなかった。
「さて、お参りもしたし帰ろうかな」
この時間を選んだのも、特に意味はない。
寝過ぎて起きたらこんな時間になっていたというだけだ。
帰ろうした瞬間、暗がりの茂みの中から何かが飛び出してきた。
「うわっ!!」
凄いスピードで飛び出した物体は、境内の裏側に走り去っていった。
「な、なんだ……?」
気になった俺は後を追いかける事にした。