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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 夢の中で【13】 ( No.20 )
- 日時: 2013/05/12 19:59
- 名前: ゴマ猫 (ID: ugb3drlO)
瞼に暖かな光を感じると、意識が戻ってきた事がわかる。
同時に誰かが俺の手を握っている感覚が伝わってきた。
橘さんに羊の話しをしようとして倒れてしまったから……もしかして、この手は橘さん?
心配して握ってくれるなんて、優しすぎる。
こう、すべすべで、ゴツゴツしてて……ん?
ゴツゴツ?
ゆっくりと目を開けて、確認するように視線をやるとそこに居た人物は。
「やっと目を覚ましたか」
「…………」
クールなイケメン葉田だった。
ちょっとでもドキドキした俺がバカだと思った。
手がすべすべ過ぎるだろ!! 何使ったらそうなんだよ!!
「なんだ? 不満だったのか?」
「……満足だったら、危ない関係になっちゃうだろ?」
俺がそう言うと、葉田は肩をすくめて小さく笑った。
俺はパッと手を離す。
「それより、橘さんは?」
「桜井が倒れたって、慌てて教室に戻ってきて俺がここまで運んだ。橘さん今は保健の先生を呼びに行ってるよ」
そうだったのか。
うーん、みんなに迷惑かけちゃったな。
「ありがと。助かったよ葉田」
「いや、気にするな。それより体調は平気なのか?」
「あぁ、問題ないよ。ちょっと疲れてたのかもしれない」
理由は言えないので、そういう事にしておこう。
しかし、葉田は訝しげな表情をしてきた。
「本当か? 最近の桜井は少し変だぞ?」
「へ、変って何がだよ?」
葉田はまっすぐ射抜くような視線を向けてくる。
「違和感があるんだ。ついこの間、話した事をまるで覚えていない」
「それは……ただ、俺が忘れっぽいだけで」
葉田の指摘は当たっている。
実際に葉田と話した会話を忘れるなんて日常茶飯事だ。
「まぁ、何かあるなら相談してくれ。微力だが力にはなる」
葉田はふぅっとため息をつくと、それ以上の追求はしてこなかった。
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