コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 帰り道【15】 ( No.22 )
- 日時: 2013/05/16 19:07
- 名前: ゴマ猫 (ID: vysrM5Zy)
あの後、橘さんはまた様子を見に来てくれて、俺が元気そうな事を確認すると安堵していた。
なんだかんだ、爆睡してしまって放課後になってたりする。
橘さんは部活があるみたいで、「今日は話しが聞けなくてごめんなさい。また今度聞くからね」とだけ言ってきた。
俺は部活に所属していない。
昼寝部とか、睡眠同好会とかがあったら喜んで入るけど。
葉田は葉田で、バスケ部があったりで帰りは結構1人だったりする。
いや、寂しくないよ? 早く帰れば、睡眠時間も多く取れるし。
「しかし、新たな問題だよな。羊の事を話せないならどうしたもんか?」
本来なら橘さんに羊の事を話して、何か解決策が見つからないかな? っと思ってたんだけど。
もちろん、羊に言われるまでもなく橘さんに無理に笑顔になってもらおうとかは思っていない。
それに不思議な事に、橘さんを見ていると心があったかくなってくる。
こう、落ち着くというか……。
夢の中で羊が出てきた時は、あれだけ不安だったのに。
「って、何考えてるんだ俺。そーじゃないだろ」
そんな事を考えながら帰り道を歩いていると、道端でうずくまる女の子を見つけた。
何をしてるのか気になって、通りすがりに横目でチラッと見てみる。
女の子は足首をおさえてうつむいている。
怪我でもしたんだろうか? このまま放置するのは夢見が悪いので、声をかけてみる。
「あ、あの、大丈夫?」
恐る恐る声をかけると、女の子はゆっくりと顔をあげた。
綺麗な黒髪をサイドでポニーテールにしていて、くりっとした瞳とやわらかい顔立ち、やや細身で華奢な感じだ。
一言で言うなら、かなり可愛い。
「あ、はい。……あはは、足首ひねっちゃったみたいで」
そう言いながら、女の子は痛そうに足をさする。
「歩けそう?」
「ちょっと、厳しいですかね……」
どうしたものかと考えたが、このまま放っておけないので一応、提案してみる。
「あの、嫌だったら良いんだけど、もし良かったらおぶって送るよ?」
「へっ? あっ、いや、それは申し訳ないというか、恥ずかしいというか……」
女の子は少し恥ずかしそうに両手をぶんぶん振った。
まぁ、そりゃそうだよな。
初対面でいきなりこんな事言ったら驚くよな。
むしろ警戒する。
橘さんの時に学んだはずなのに……反省。
「……で、でも、もし、ご迷惑でなければお願いしても良いですか?」
「えっ?」
まさかそんな事言われるとは思わなかったので逆に驚いてしまった。