コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- おんじぃの助言【17】 ( No.31 )
- 日時: 2013/06/02 20:48
- 名前: ゴマ猫 (ID: 9cJ6xZl9)
最近は人の話しや、今日あった出来事を日記に書いている。
そのため今のところ日常にかんしては問題はない。
知らない話しというか、覚えてない話しは日記を見て対応。
ポケットサイズの日記帳を持ち歩いている……というよりはメモ帳と言った方が正しいか? 多少不自然ではあるが、「忘れっぽいから」って言えば納得してくれる。
「桜井、体調はもう平気なのか?」
「あぁ、もう大丈夫だよ。ありがとな」
朝の教室。
俺は葉田と他愛のない会話していた。
先日の昼休みに、屋上で倒れてしまった俺。
原因は羊。
羊にかけられた呪いを解くため、羊に出された条件は橘さんを笑顔にする事。
その目的のため、橘さんに羊の事を色々と聞こうとしたところ、突然激しい頭痛に襲われて意識が落ちた。
意識が落ちて、夢の中で羊に会った。
そして『自分の事は彼女に言うな』と。
言えば問答無用で記憶が全てなくなる……そう言われて、お手上げ状態のところで出会った女の子、青山 美晴に思わぬ情報をもらった。
羊に詳しい人物が居るんだとか。
今日の放課後、青山さんにその人の所へ連れて行ってもらう事になっているのだ。
色々と疑問はある。
なぜ羊は橘さんにこだわるのか? そもそもあの羊は何者なのか? 呪いを解く方法は他にないのか? そんな疑問や不安はつきない。
「……桜井?」
「……へっ?」
思考の世界にトリップしていたせいか、葉田の話しを聞いていなかった。
「えっと、何の話ししてたっけ?」
「やれやれ。今日はボーっとしてるみたいだな」
肩をすくめて、葉田はそんな事を言う。
「洋くーん!!」
その時、明るい声が教室の入口付近からかかってきた。
視線をやると、黒髪をサイドでまとめた快活そうな女の子、青山 美晴が居た。
「あれ? 青山さん?」
急いで青山さんのところに行く。
「どうしたの?」
「今日の放課後なんだけど、授業終わったら校門前で待ち合わせね!! 遅れたら許さないよ」
青山さんは明るい笑顔で、ビシッと人差し指を俺の目の前につきつける。
「遅れないよ。っていうか足の具合はもう良いの?」
先日の放課後、俺は足を痛めた青山さんを家までおぶって送っていったのだ。
「ん〜? あぁ、大丈夫だよ〜。私、頑丈だし」
青山さんは、ニコッと笑いながらピースサインを自分の目の前で作る。
「頑丈て……まぁ、良くなったならよかったよ」
「あははっ!! 洋くんは心配性だな〜」
そう言いながら、俺の背中をバシバシと叩く。
痛い、結構痛いから。
そんな事をやっていると、葉田が後ろからやってきた。
「おい、桜井。そろそろ授業が……って」
「あぁーーっ!! あの時のイケメンさん!!」
葉田と青山さんが顔を見合わせて驚いていた。
何だ? 2人は面識あるのか?
「同じ学年だったんですね!! 冷静な口調とか、対応とか、絶対先輩だと思ってたのに。ってしかも洋くんと同じクラスだったんなんて!!」
「……あぁ」
青山さんのマシンガントークに、ややたじたじな葉田。
青山さんは隣りのクラスなのだが、ニアミスというか、よく会わなかったもんだ。
「早く言ってくださいよ〜。でも、また会えて嬉しいです!!」
青山さんは恥ずかしさと、嬉しさがまじった声でそんな事を言う。
これはどういう事なんだろう? 1人置いてけぼり状態の俺。
「なぁ、これはどういう……」
事なんだ? と言おうとしたところで予鈴のチャイムが鳴った。
「おっと、時間ですね。じゃあ、流星さんまたです!! 洋くんもまた後でね!!」
そう言って、嵐のように青山さんは去っていった。
これは休み時間に葉田を問い詰めないとな。
「桜井」
「うん?」
「桜井が面白がる話しはないぞ?」
思考が読まれてたのか、先に釘をさされてしまう。
「嫌だなー。そんなこと考えてないぞ」
「まぁ、隠すような事はないから聞きたければ話すが」
席に着きながら、葉田はやれやれという表情をする。
葉田は俺のひとつ後ろの席だ。なので席に着いても話しができる。
「そんな事より、良いのか?」
「えっ? 何が?」
「橘さんだ。桜井が青山さんと喋ってた時、後ろからずっと見てたぞ?」
葉田に言われて、俺の席から少し離れた斜め横の橘さんを見ると、何かを言いたそうに俺を見ていた。
小さく手を振ってみたが、プイッと顔を背けられてしまった。
「二股はよくないと思うぞ」
「……だから違うんだって」
なんだかこの間の事から葉田を含め色々と誤解された状態だった。
ふと周りをよく見ると、クラス中からの視線が痛いほど俺に集中していた。
「……自分のクラスなのに、凄いアウェーな気がするんだが」
「心配するな。俺は桜井を信じているし、桜井が二股をかけても友達をやめたりはしない」
「葉田……マジで誤解なんだ。信じてくれ」
「大丈夫だ。安心しろ」
うんうんと葉田は頷いてはいるが、どこまで伝わったのか疑問だ。
そんな事をしているうちに担任が入ってきて、授業が始まるのだった。