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おんじぃの助言【18】 ( No.32 )
日時: 2013/06/02 20:54
名前: ゴマ猫 (ID: 2qC9xcD7)

チャイムが鳴り、放課後になると部活に行く人や、帰宅するために準備する人、教室に残って友達と話す人など、皆様々な行動する中、俺は待ち合わせ場所の校門前まで来ていた。

「はぁ……」

独り大きなため息をつく。
朝の誤解? のせいで、今日は1日橘さんに口を聞いてもらえなかった。
人の心は難しい。
ましてや女の子となればさらにだろうか?

「どったの? 辛気くさい顔しちゃって」

後ろから声がかかり、振り返ってみると、待ち合わせをしていた人物、青山さんが居た。

「いや、別になんでもないよ。人生は色々思うようにはいかないな〜って考えててさ」

「何それ? 洋くん、おっさんくさいよ? だから老けて……いや、大人っぽく見えるんだよ」

青山さんは、軽く毒を吐いてくる。
彼女は良くも悪くも、正直なため本音を隠しきれてない。

「まっ、そんな事より、流星さんと洋くんって友達なの?」

しかも青山さんは話しがぶっ飛ぶため、ついていくのも大変だったりする。
そんな事と言われてしまうのも悲しいところなんだが。

「あぁ、休みの日に遊びに行ったりとかはあんまないけど、仲は良いと思うよ」

「おぉ〜っ!! 心のホモってやつだね」

「友ね。友。おかしな関係になっちゃうから」

わざと言ってるんだろうけど、葉田とそんな関係にはなりたくない。
しかも、心の友とか、あの有名なガキ大将的なやつだよね? あれって一方的な友好関係だよな。

「まっ、それはともかく、流星さんって彼女とか好きな人とかいるのかな?」

「葉田の? さぁ、そういう話しは聞いた事ないなぁ」

俺がそう言うと、青山さんは小さくガッツポーズをしていた。

どういう事だろ?
意味がよくわからなかったが、青山さんは上機嫌になっていた。

そんな事を話しながら、俺達は羊神社の近くまで来ていた。

「ほら、ここが、この間言っていた羊神社に詳しい人が住んでる家だよ〜」

「ここ……か」

一見、普通の一軒家。
今風のというよりは、ちょっと昔の一軒家だ。
だが、羊が関わってるなら普通じゃない可能性がある。

「青山さん、その人と知り合いなの?」

「ん〜、正しくは私がっていうより、親の知り合いかな。小さい時よく遊びにきてたんだ」

青山さんは話しながら、玄関に行き、インターホンを鳴らす。

——ピンポーン

「…………」

「…………」

返事がない。
もしかしたら留守なんじゃないだろうか?

「おっかしいな〜。行くねって電話しといたのに……」

「どこか出かけてるんじゃないの?」

窓に目をやるが、電気がついてる様子もないし……ってか聞いてなかったけど、どんな人なんだ? 男の人か女の人かすら知らないし。
気になった俺は尋ねてみる事にした。

「ねぇ、青山さん。その人ってどんな人なの?」

「うん? あぁ〜、おんじぃの事?」

「おんじぃ?」

おんじぃって言うからには、お爺さんなのか?

「うん。本名は忘れちゃったんだけどね。小さい時から、おんじぃ、おんじぃって呼んでたんだ」

「へぇ〜。って事は結構なお爺さんなの?」

「そだね。私が小さい時からお爺ちゃんだし、樹齢何年だよ!? ってくらい」

樹齢って……。
人間だよね?
なんだか不安になってきてしまった。
その時、後ろから大きな声がかかった。

「こらーーっ!!」

何事かと振り返って見たものは、ツルツル頭に長めの白髭をたくわえたお爺さんが、持っていた杖を振り下ろす瞬間だった。

「おわっ!!」

間一髪で横に飛び、かわす事ができた。
ちなみに青山さんは、少し離れた所に居て、ポカーンと様子を見ていた。

「この泥棒めっ!! ワシの家に入ろうとはいい度胸じゃ」

「ち、ちが……」

違うと言おうとするが、それより早く2撃目がくる。
後ろに転がりながら、それを回避。
ってか何これ? この爺さん動きが機敏過ぎるでしょ!?

「なかなかやるな。だがそこまでじゃ」

「話しを聞いてくれって!!」

「泥棒と話す事などないわいっ!!」

閑静な住宅街の中、なぜかわからないが、死闘が繰り広げられようとしていた。