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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 羊との遭遇【4】 ( No.4 )
- 日時: 2013/05/02 23:47
- 名前: ゴマ猫 (ID: 9cJ6xZl9)
その日の夜、俺はベッドに寝っ転がりながら今日の出来事を考えていた。
「……ここ最近だよな。物忘れが激しくなったの」
昔から物忘れが激しかった訳じゃない。
この1ヶ月くらいの間で、こんな事が増えていた。
杏には、『寝過ぎて、脳が腐ったんじゃないの?』なんて悪態つかれてしまったが、それはない。
俺は、寝れば寝るほど頭は冴えてくる。
酔拳じゃないが、本当にそうなのだ。
「あぁ!! もうわかんねーや!!」
頭をグシャグシャとかきむしる。
とにかく、もうこんな日は寝るにかぎる!!
解決策ナシ。だけど、わからないから仕方ない。
そう理由をつけて、瞼を閉じると意識はすぐに暗闇の中へ沈んでいった。
ボヤッとした景色の中、俺は見慣れた風景を見ていた。
羊神社。
新生活……つまり高校に入る前にお参りした所。
不思議とこの記憶は鮮明に焼き付いていた。
ただ、あれは夢の中で行ったはず。
なのに覚えている。
「…………」
鳥居をくぐり、中に入るとそこには真っ白な毛の羊が居た。
「お、お前……、前にも夢の中で会ったよな?」
羊に問いかけるが、返事はない。
……当たり前か。
羊は俺の方をチラッと見ると、神社の裏側に走っていってしまった。
なぜだか妙に既視感がある夢。
「追いかけるか……」
そう思い歩きだそうとすると、足が動かない。
そして、一気に景色が白に包まれた。
「……ゆ、夢か」
瞼を開けると、見慣れた自分の部屋。
まるで悪い夢でも見たかのように、寝汗をびっしょりかいていた。
「……羊神社……行ってみるか」
時計は深夜2時を示していたが、なぜだか気になった俺は羊神社に行く事にした。
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