コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

デート【21】 ( No.49 )
日時: 2013/06/22 16:07
名前: ゴマ猫 (ID: 7ZYwzC8K)


『羊の呪い』それは、ハッキリとした解決策がなく、羊神社に詳しいと言われている、おんじぃに聞いても、神主さんに聞いても詳しい事はわからなかった。(正直な話し神主さんより、おんじぃの方が詳しく知っていたけど)

だが、当然といえば当然なのか。だって、実際に羊に会った事がないのだから。
ルーツというか、昔話は詳しくなったんだけどね。とりあえず、今の問題はそれじゃない……。

「明日、小テストがあるの忘れてた!!」

自室にて叫ぶ。
羊の呪いによって、少しずつだが記憶を失っていく俺。もちろん、勉強している事も例外ではない。
せっかく覚えた事も忘れてしまうのだ。底に穴があいたバケツのように、記憶が漏れていく。
今のところメモを取っていく事で、日常生活はカバーしていたが、テストはそうはいかない。
やったら、カンニング確定だからだ。

「——くっ、このままじゃ確実に赤点じゃないか」

泣ける……泣けてくる。最悪、小テストはいいとしても、中間とか、期末とかどうすんだ?
でも、期末やる頃には、呪いの問題も解決してないとそれどころじゃないのだが。

机の上に広がった教科書や、ノートを見ながら絶望感にうちひしがれていた。

——コンコン

「洋一。入るよ」

頭を抱え込んでいると、妹の杏が部屋に入ってきた。

「杏、ノックして返事を待たずに入ってきたら、ノックする意味がないと思うんだが」

「別にいいじゃん。どーせ、大した事してないんでしょ」

……相変わらず、兄の威厳は0にかぎりなく近い。杏は俺のベッドに腰掛けて、近くにある本棚から漫画を1冊取ると読みはじめる。

「俺にもプライバシーってのがあるんですがね……ってか、何しにきたんだよ?」

「うん? いや、この間相談してきた件はその後どうかなって思ってさ。仲良くなれたの?」

杏は、漫画に視線を落としたまま問いかけてくる。
つい先日、橘さんに避けられていた時に、杏に相談していたのだ。その時は杏の言うとおり謝った事で、誤解は解けた。(もちろん、自分でもちゃんと謝ろうと考えて行動したんだけど)
しかし、今はまた別の誤解がうまれたせいで、橘さんとは微妙な距離感があった。

「うーん、仲良くなったけど、仲悪くなった?」

「はい? なにそれ? ようするにダメだったって事?」

杏は『意味がわからないんだけど』と言わんばかりの表情で、俺を睨んでくる。
睨むなよ……怖いから。

「あーっ、1回仲良くなれたんだけど、その後、なんかわからんけど誤解されて仲悪くなった」

葉田いわく、青山さんと仲良くしてたのが問題らしい。
何でなのか理由はわからないけど。

「誤解って、何誤解されたのよ?」

「さぁ? 見ていた友達の話しじゃ、別の女の子と話してたからだって言ってたけど」

「……最低」

杏はボソッと、小さな声でそんな事を言ってきた。
ってか、最低呼ばわりはひどいでしょ!!

「お前な……いくらなんでも」

「はぁ〜、大体、大してかっこよくもないのに、二股とかありえないでしょ?」

「二股じゃねぇし、お前のその発言に、結構傷ついてるからね?」

毎度、毎度この妹は……もう少しオブラートに包んで話せないのか? もし俺が子供だったら泣いてるよ。
それに橘さんは、恋人じゃないし、青山さんとは理由があって話してただけだから。
あと、いくらかっこよくても二股はダメだからな!!

「まっ、理由はともあれ、上手くいってないと思ってたから安心してよ。——仕方ない、アドバイスしてあげる」

杏は、不遜な態度で、読んでいた漫画をベッドに置き、俺に視線をやる。
ってか、安心できる要素がない。俺はどんな風に思われてたんだ? 別方向での信頼感はバツグンなんだね……くらいにしか思えない。

「……アドバイスって、なんだよ?」

納得いかないながらも、杏のアドバイスは的確なところもあるので、一応聞いてみる。
すると、1冊の情報誌をどこからか出して俺に見せてきた。