コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

デート【23】 ( No.54 )
日時: 2013/07/03 20:42
名前: ゴマ猫 (ID: RohPBV9Z)

「……燃えたよ……燃え尽きた」

——教室の机に突っ伏して、現国の小テストの出来に嘆く俺。言うまでもなく、ひどい結果だった。もともと成績が良い訳でもなく、こんな状態で良い点なんて取れる訳がない!! というのは言い訳になってしまうのだろうか? 

「これでも飲んで、元気出せ。まだ挽回できる」

昼休み、葉田が突っ伏している俺の顔に、紙パックの冷たいカフェオレを押しつけてきた。

「冷たっ!! ……ありがと葉田」

押しつけられたカフェオレをありがたく頂戴する。
疲れてる時は甘い物だよな。糖分は頭を働かせるし……ってもう遅いか。

「気にするな。ついでに買っただけだ」

購買で買ってきたパンを片手に、ひらひらと手を振る葉田。——って、昼休みの時間もう15分も過ぎてる!? どうやら落ち込み過ぎたようだ。
今日は、大事な用があるのだ。そう、昨日計画していたデートに橘さんを誘うという重大な——

「ヤッホー!! 洋くん!!」

そんな俺の思考をかき消してきた声の人物は、自由人、青山 美晴だった。
隣りのクラスの彼女は、知り合ってから、何かにつけてうちのクラスに来る事が増えている気がする。——こう言っちゃなんだけど、青山さんと絡むと色々と大変だったり。

「何か用ー?」

「ちょっと、何でこっちに来ないで、そんなに距離置いて話しかけるのよ」

仕方ないので、教室の入口近くまで行って話しを聞く事にした。

「で、何の用?」

「つれないな〜洋くん。美少女が話しかけてきたら、狂喜乱舞してもいいくらいなのに」

自分で美少女とか言ってる時点で、美少女レベルが半減してると思うのは俺だけだろうか?

「まっ、そんな事より、一緒にお昼食べよー!! その……流星さんと、よっちんも誘ってさ」

「そりゃまた、意外な組み合わせだね。俺は弁当忘れたから、購買で買ってこなきゃいけないんで、3人で食べてよ」

そう言って、教室を出ようとすると、青山さんに腕をつかまれた。

「……洋くんが居なきゃ、マズいんだって!!」

「へっ? 何で?」

別に俺が居なくてもマズい事はないと思うんだけど。俺を待ってたら、食べる時間遅くなって、ゆっくり休めないうちに昼休みが終わっちゃうと思うし。
すると、青山さんはもじもじした様子で口ごもる。

「……だって、洋くん居ないと……口実が……」

「なんだかよくわからないけど、急がないと食いっぱぐれちゃうから、また後でね」

俺はつかまれている手を振り払って、購買へと駆け出した。

「裏切りものーーっ!!」

後ろから青山さんの大きな声が聞こえてきたが、ここはスルーしておこう。マジで間に合わなくなるし。

————

「ごめんね〜。今日のパン全部売り切れちゃったのよ」

購買のお姉さんが、困った表情でそう言う。
購買に着いたのはいいが、パンが全部売り切れてしまっていて、不人気のコッペパンすらない。

今からだと、食堂も混んでいるだろうし——
考えたすえ、こっそりかつ、迅速に校外へ行き、外から食料を確保する事にした。

「ふふふっ、このこっそり出る感じが良いんだよね」

昇降口付近で、辺りの様子をうかがう。
原則的に昼休みとはいえ、校外に出る事は禁止されているのだが、どうしてもコンビニ飯が食べたいという奴も居たり、居なかったりする訳で。(あと、お菓子とかね)

そんな時はこうして、こっそりコンビニに行くんだけど、今までそんな事をしたことがない俺は、初めてのおつかいなみに緊張していたりする。

「緊張するな〜。問題はどうやって監視の目をかいくぐるかだよな」

「何をかいくぐるんだ? 桜井」

「そりゃあもちろん、校外に出るため先生の目を……って!!」

いつの間にか俺の後ろに居た担任に、バッチリ聞かれてしまい、作戦は失敗に終わった。

「仕方ない……葉田からもらったカフェオレでも飲んで、今日の昼は我慢するか」

もう時間もなくなってしまったため、昼抜きが確定してしまった。力なく階段を上がっていくと、上の階から降りてきた橘さんに会う。

「あれ? 橘さん屋上に行ってたの?」

「う、うん。さ、桜井君はどうしたの? なんだか元気ないみたいだけど……」