コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【オリキャラ募集中】 ( No.139 )
- 日時: 2013/06/17 20:36
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: gYu/uyWc)
NO.24『やっぱ人間っていいわ〜』
華:ハァ・・・ハァ・・・、涼子さんすごい速いですね。
涼子:そんなことないって。人よりちょっとできるだけだよ。
少し練習したら2人はベンチで休憩した。
あの後、2人は公園に行って一緒に練習した。お互い自己紹介もして(彼女は涼子としか名乗っていないが・・・)。
涼子:そうだ、疲れたでしょ。あそこに自販機あるからなんか買ってきてあげる。何がいい?
華:・・・どうして?
涼子:ん?
華:どうしてあなたは私にこんなに優しくしてくれたんですか?この間ちょっとだけ会っただけの赤の他人ですよね、私たち。
まあ考えてみればなんでだろう?わかんない。ただ、かなり普通である華が羨ましいのである。普通ってことはどこにでもいる、ありふれた人間なのである。
ってなことは勿論言えない。自分が人間じゃありませんと言ってるようなものだ。
涼子:そういう君にも聞きたいな。ただリレーに選ばれちゃったからそんな必死になってるってわけじゃないんじゃない?
華:え?どうしてですか?
涼子:だって、朝から走り込みって・・・そんな理由だけじゃないんじゃないの?
華はカーッと顔が赤くなった。
涼子:ど、どうしたの?大丈夫?水かなんか買ってこようか?
華:涼子さん、誰にも言わないって約束してくれますか?
涼子:う、うん・・・。その代わりに、君も私と一つ約束してもらうよ。
華:え?何?
涼子:敬語を使わない。あなたと私は同い年のはず。だからそんなよそよそしい態度なし。ちょっとしたきっかけのちょっとした知人かもしれないけど、私は君のこと、友達って思ってるよ。
華はまた少し頬を赤めた。
少しドキドキしている。だって彼女は桐谷くんそっくりなんだもん。なんか桐谷くんに友達って言われてるみたいで・・・
涼子:華?
華:わ、わかった。努力します・・・じゃなくて、努力するよ。涼子ちゃん、でいい?
涼子:OK、じゃ、あなたの話聞かせて?
華:私、学校で好きな人がいるの・・・
好きな人・・・ああ、学校でクッキーをあげてたところから推測するに涼太のことか。
華:その人は頭も良くて、運動神経も抜群で、とっても格好良くて・・・とても私なんかが釣り合うような人じゃないんだ。
そんなことはないと言ってやりたい。恋ができない、普通の人間ではないと言って逃げている私たちより華の方がずっと立派だ。むしろ私たちがあなたに釣り合わないくらいだ。
華:でもわかったんだ。この間彼に会ったとき、すっごく緊張したけどそれ以上に嬉しかったの。それに、もっと私のことを知ってほしいと思ったし、もっと彼のことを知りたいと思った。もっと彼に私を見てほしかった。
この子、本当にいい子だ。普通の恋して、努力する人間。どこにでもいる普通の人間。つまり・・・私が、いや、私たちと言った方がいいか。
華は私たちが最も憧れるような人間なのだ。
皮肉なものだ。皆、容姿端麗で文武両道な美青年と美少女に憧れているのだ。だがその美青年と美少女は、ごく普通の、ごくありふれた人間らしい人間に憧れている。人とはそういうものだ。
華:だから、ちょっとだけでも彼に格好つけてみたくなったの。だからこんなリレーって形でも、彼に私を見てほしかったんだ。リレー、私のクラスは彼のクラスと一緒に走るからちょっとでも見てもらえるかもしれないから・・・
涼子:華・・・アンタいい高校生活送ってるじゃん!
と言ってポンッと肩を華のたたいた。
涼子:その恋の相手、幸せ者だよ〜。恋の結果がどうであれ、そんな一途に恋されることなんて人生なかなかあったもんじゃないって。
華:でもその人、すっごくモテてるの。私のことなんか眼中にないよ。だって・・・
涼子:そういう人ほど華みたいにありふれた人間がタイプかもしれないじゃん。頑張ってね!
と言って涼子はこの場を去った。
あ〜、やっぱ人間っていいわ〜
涼太:沢田さんには好きな人がいるんだな。なんか俺まで聞いちゃいけないこと聞いてしまった気分だ。
涼子:あ〜、アンタってほんっとうに鈍感よね。
涼太:ハァ?なんで?
涼子:なんでも。アンタも華みたく頑張れよ、体育祭。
涼太:いや、頑張ったらお前・・・勝負にならないだろ。
涼子:そういう意味じゃないっての。
イザナミ、わかる?あなた、私たちのことをパーフェクトパーソンって言ったよね?私たちだって鈍感だったりちょっとドジしたりそういうことはある。
そう・・・パーフェクトパーソンもとい、パーフェクト天邪鬼なんかじゃないんだ。
続く