コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【アンケートお願いします】 ( No.177 )
- 日時: 2013/07/01 19:00
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: wJnEuCOp)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
NO.29『貸しにしとくぞ』
?:ったく、世話かけさせんじゃねーよ!
涼子:なっ!アンタは!裕輝・・・となっちゃん!?え?なんで窓から入ってきてんの?ここ2階だけど?てか下手したら不法侵入だけど・・・
裕輝:上ってきたに決まってんだろ。
裕輝は窓から勝手に侵入した。そしてその肩には夏姫が背負われている。うん、状況を述べるのは難しいが、まあ裕輝が夏姫を背負って涼子の部屋まで上ってきたってことだ。
夏姫:なんか風邪酷そうだね。大丈夫?
涼子:なんでアンタらウチに来たの?ていうかなんで窓から!?
裕輝:下にはお前・・・いや、涼太のダチがいたから気づかれないようにな。夏姫の野郎が何も考えずここの住所教えちまったらしくてよ、まさかと思ってきたら案の定こういう状況になってたってわけだ。
夏姫:そうそう、こうなったのは私のせいでもあるから手伝うよ!とりあえずりょーちゃんはりょーくんとチェンジ。私は女子っぽいものをこの袋にしまう。裕くんは部屋の外出て時間稼ぎ。
裕輝:ハァ!?なんで俺が!俺片づけやるからお前時間稼ぎしろよ!
夏姫:女の子のものは女の子がわかるの!てか、りょーちゃんが見られたくないもんだってあるだろうし・・・
涼子:てかチンタラしてたら来ちゃう!とりあえず裕輝!お願い!
裕輝:チッ、しゃーねぇな。貸しにしとくぞ、これ。
美奈:え〜っと、2階の突き当りが涼太の部屋よ。後でお茶か何か持ってくからね。
慎二:ハイ、ありがとうございますおばさん。いや〜、さすが涼太のお母さん、美人さんですね〜
美奈:あらヤダ。私なんかただのおばさんよ。
と相変わらず人の親だろうがすぐに打ち解ける慎二。そして2階へ行くと・・・
裕輝:よお、お前は・・・え〜っと、誰だっけ?
慎二:古畑慎二!会ってそんな長い時間経ってないだろ!
美砂:誰?この黒い人。
裕輝:いきなり黒い人って何だよ。俺ぁ久利生裕輝。桐谷と同じ中学の出身だ。夏姫がLINEで桐谷が風邪ひいたって聞いてアイツに付き合って見舞いに来たんだよ。
慎二:・・・・・・なんで部屋の外にいんの?
裕輝:そりゃ・・・あれだ。えっと・・・
慎二:まさか・・・・・・中になっちゃんがいて、アイツらイチャついてるとか!?
雛罌粟:・・・・・・何くだらない妄想してるんだ?お前。
慎二:そうだよな〜、なっちゃんの彼氏はお前だもんな〜。
裕輝:バーカ、そんな挑発にのるかよ。
とグダグダ話していたらなんやかんやでだいぶ時間を稼いでいる裕輝。まあ理由は慎二と美砂が超喋りまくるからだ。雛罌粟はまだ入れないのかとイライラしていたが。
涼太:多分それで最後だ。ありがとう、助かったよ。
夏姫:いいのいいの。じゃあそろそろ裕くんも限界だろうし皆中に入れようか。
涼太:ああ。
夏姫:・・・・・・大変だったけど、なんか嬉しそうだね。
涼太:そうかな。熱があってだるいだけだよ。
そりゃ嬉しいさ。つい数年前の中学時代には友達がいなかった。だけど今、俺には見舞いに来てくれる友達やわざわざ助けてくれる友達がいる。嬉しいに決まっている。
夏姫:裕くん。中入っていいよ。
裕輝:おっせぇよバカ!
慎二:なっちゃんは中で涼太と二人きりで何してたの?浮気?
夏姫:浮気!?大体浮気以前に付き合ってる人いないし!
雛罌粟:ではこのまっくろくろすけをなぜ外に追いやった。
裕輝:まっくろくろすけ?え?俺ってお前と初対面じゃなかったっけか?
涼太:ちょっとなっちゃんに掃除してもらってたんだよ。風邪を治す環境にしてはちょっと埃っぽいんじゃない?って言われてな。
とスラスラと嘘をついた涼太くん。
美砂:桐谷大丈夫か?なんかすごい具合悪そうなんじゃが。
涼太:大丈夫だ。お見舞いご苦労さん。
慎二:いや〜だけどお前の部屋、すっげーキッチリしてんな。シンプルだし・・・なんかオシャレだ。
先ほどまで女子アイテムがあったことはとても言えない。
涼太:なんか大人数になっちゃったけど、とりあえずその辺座・・・
雛罌粟:桐谷。俺は要件を済ませたら帰る予定なんだ。座ってる場合ではない。
と言って雛罌粟は涼太のベッドの前に経った。
涼太:あ、ああ・・・き、昨日はその・・・
雛罌粟:悪かった。
涼太:は?
涼太はマスクをしているため頬があまり見えないが、少し殴られた跡が残っているように見えた。
雛罌粟:その・・・、俺の意見は変わらない。だがお前に変な心配をかけたのは事実だ。すまなかった。
涼太:・・・・・・ハァ、お前、まだわかってないようだな。
と言って少し起き上がって雛罌粟の方を向いて言った。
涼太:心配すんのは当たり前なんだよ。それを悪いことと認識するんじゃない。逆にその状態のお前を心配しないのは優しくない人間がすることだからな。
裕輝:なんだお前ら、喧嘩してんのか?
夏姫:ちょっ、裕くん!これ、私たちが口出しすることじゃないって!空気読みなよ!
裕輝:だけどよぉ、桐谷が喧嘩に応じるなんてよっぽどじゃねぇのか?
涼太:いや、俺が喧嘩を吹っ掛けた。
裕輝:だったらこいつには言い分があってそれをぶつけた。お前にも言い分があってそれをぶつけた。そりゃお互いを理解するいい機会だと俺は思うぜ。だから、喧嘩を悪だと決めつけるのは違うと思うぜ。桐谷は喧嘩という方法でしか自分の思いを理解させられないと思ったんだろうよ。
正直難しい話だ。喧嘩は悪・・・というか純粋に殴り合いはよくない。
だけど、あの言い合いで俺が何も感じなかったと言えばそれは嘘ということになる。謝る必要は・・・なかったのかもしれないな。
続く