コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【オリキャラ募集+同窓会篇スタート!】 ( No.256 )
- 日時: 2013/08/06 18:16
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: gYu/uyWc)
NO.38『幸せ者だなと思っただけです』
美里:ここが私たちの家よ。
記憶喪失になって3日後。完治とはまだいかず頭に包帯を巻いたままだが、もう退院できるほど元気にはなっていた。それも天邪鬼特有の回復力にある。(この辺も異常なる運動神経に含めておいてください。)
そして家に帰ってきた。だが本人にとっては過去の記憶がほとんど抹消されているため、初めて家に来ているのである。
美奈:ほら、中に入りましょうか。涼太。
涼太:あ・・・ハイ。えっと・・・・・・お母・・・さん?
美奈:あらあら、まだ呼びにくいならおばさんでいいわ。
敦:キリくん、今日は俺が夕飯作るわ〜
家には涼太、美奈、美里の他になぜか敦と正菜もいた。
美里:えっと、あなたたちはなんでここにいるのかしら・・・?
正菜:彼をこういう状態にしたのは私の半身、つまり私にも落ち度がある。それに天邪鬼のことは天邪鬼がわかること。天邪鬼特有のトラブルが起きた場合、私たちの方が対応できると思ったんですよ。ね、敦。
敦:う〜〜ん。そだね、まあ正菜姐さんには逆らえないし〜。逆らったら命危ないし〜。
と、じゃがりこを食べながらやる気のない目で話しているため若干美里と美奈は不安になったが、正菜の話は一理あるためそれ以上追及はしなかった。
美里:それより涼太、天邪鬼ってことを教えて方がいいかしらね?
正菜:いえ、伏せておいた方がいいでしょう。この3日間、彼と毎日話してきましたが完全に自分のことを人間だと思ってます。下手に天邪鬼だと言って彼を混乱させるのは危険だと思われますね。
美里:でも、涼子の方はどうなってるのか・・・
敦:多分桐谷ちゃんも記憶はないと思う。記憶喪失っていうのは脳の異常だからね〜。人格は違えど体は一緒、つまり脳も一緒だからキリくんも桐谷ちゃんも記憶喪失かな〜
美里:あの・・・深刻な話をお菓子食べながら言わないでくれる?
相変わらずじゃがりこをポリポリ食べている。あ、今欠伸した。欠伸したよあっくん。
正菜:それに下手に混乱した状態で涼子と後退するのは危険です。他人格とはいえ、一方の人格の精神は反映してきいますから。なんといっても同じ体なんで。だから・・・
美奈:わかったわ。ありがとうね、正菜ちゃん。
敦:記憶喪失なんてのは一過性のもんで、取り戻すキッカケなんていくらでもあるよ〜。例えば、今日夏休み特有のイベントがあるよ〜、行ってみる?
美里:夏休み特有のイベント・・・?
敦:ま・・・簡単に言うと・・・・・・
“夏祭り”
夏姫:わーっ、盛り上がってるね!それより誘ってくれてありがとう。その・・・りょーくん・・・・・・
涼太:いえ・・・その、夏姫・・・さん。
夕方になって夏祭りになった神社の周辺に屋台が並び、浴衣を着た人が沢山歩いていた。
夏姫:裕ちゃんに聞いたけど、本当に記憶喪失なんだね。どうやったらもとに戻るかな?
敦:まあ〜ポロッと記憶落っことしたんだし、ひょこっと拾うんじゃない?いつか〜。モグモグ。
敦は綿あめを買って食べていて、普通に祭りをエンジョイしていた。ていうか夏姫も正菜も普通に浴衣を着ているからエンジョイしてるっちゃしてるんだろうな。
正菜:裕輝は来ないのか?
夏姫:え、えええ!?なんでそこで裕くんが出てくるのよ!?
正菜:そりゃ〜、浴衣姿の可愛いなっちゃんを裕くんだって見たいだろう。付き合ってるんだろ?お前ら。
夏姫:い、いくら正菜姐さんでも殴るよ!ま、まあ後で裕くんも来るって言ってたけど・・・付き合ってないし!
涼太:くす・・・
涼太が少し笑った。やはり少し硬いが、彼の笑顔は最強だった。ま、2人は別に涼太に惚れているわけではないんだけど・・・
涼太:僕は・・・いつもこんな感じで・・・・・・みんなと遊んだりしていたんでしょうか。
夏姫:え?
涼太:だとしたら・・・僕は幸せ者だなと思っただけです・・・・・・
一同は何も言えなかった。
幸せ者・・・・・・いや、涼太は人と比べたら絶対に幸せでない。正直、この16年間、かなり過酷な人生を送ってきた。
天邪鬼だからわかる。敦と正菜は何も言えなかった。天邪鬼ではないといえ、16年間ずっと天邪鬼である裕輝と一緒にいた夏姫にもわかる。
今の台詞が・・・どれほど切ないものかを・・・
美砂:ウチの浴衣姿はどう?似おぉとるよね?ね?
慎二:ん、あ〜似合ってるんじゃね?
美砂:ちぃと!もっとちゃんとコメントしてよ。
慎二:いや〜、悪い。桐谷も誘ったんだけどさぁ、桐谷の奴・・・ここ最近連絡取れねぇんだよな。
美砂:ウチもウチも。涼子にも連絡しとるんじゃが、なんか返事来ないんでの。
夏姫&敦:!?
隠れろ————!
涼太:?ちょ、何するんですか?
夏姫:あの人、古畑さんはりょーくんの知り合いよ!会っちゃダメ!
敦:古畑さん?それは知らないけどあの隣の女の子、アレ確かキリくんのクラスメイトだった気が・・・
夏姫:あ、そうよ!私もあの子見たことあるもん!確かりょーくんが風邪ひいたときにお見舞いに来た子よ!
涼太:え?知り合いなら会った方がいいのでは?記憶を思い出すキッカケに・・・
正菜:ならん!隠れろ!いいから隠れろ!
思わぬところで意外と久しぶりに登場の慎二と美砂が現れた!
続く
補足
夏姫は慎二と普通に会っており、美砂とは涼太が風邪ひいた回に会っています。
敦は直接的に美砂とは会っていませんが、敦子が美砂と会ってるんで知っています。