コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【オリキャラ募集+同窓会篇スタート!】 ( No.261 )
- 日時: 2013/08/08 00:10
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: gYu/uyWc)
NO.39『足滑った』
慎二と美砂が話しながら道を歩いてきたため、一同は見られないように屋台の裏に隠れた。
夏姫:困ったね・・・これじゃあ夏祭り満喫どころじゃないよ。とりあえずあの人たちを何とかしなきゃ・・・
正菜:うむ、いつ出くわしてしまうかわからないからな・・・。奴らを何とか帰らせるか・・・私たちが帰るか・・・だな。だが、折角浴衣を着たのだ、前者を取りたい。
敦:出た出た、正菜姐さんの横暴なトコ。たまに酷いよね〜
綿あめを食べ終わって今はかき氷を食べている。相変わらず食い意地張った奴なのである。
涼太:あの・・・・・・こんな隠れた方がいいような関係を持っているということは・・・僕は何か悪いことをしていた人間ですか?
夏姫:ち、ちちち違うよ!すべて思い出したらわかるけど、りょーくんは少し事情があるだけで、すっごくいい人だから!
正菜:ああ、君がそうなってしまった理由は人を助けたことだ。まあ名誉の負傷というわけだ。だから記憶が戻れば笑い話になっているさ。
敦:まあ、キリくんを悪い奴って言うやつは多分世界中で誰一人いないと思うよ。
いい人・・・?本当だろうか?皆はただ記憶喪失の僕に同情して優しい言葉をかけているだけかもしれない・・・
“あの人、古畑さんはりょーくんの知り合いよ!会っちゃダメ!”
知り合いだから会っちゃダメ。何かよからぬ理由があるからに決まっている。彼らに・・・僕は会うべきなのだろうか?
慎二:あれ?桐谷じゃねぇか?お前こんなトコで何やってんだよ?携帯全然出ないしよぉ・・・
美砂:頭怪我しとるんか?大丈夫?
涼太は気が付いたら彼らの前に行っていた。完全に3人は不意を突かれた。
敦:え?何してるの〜?どうする?ヤバくね?
夏姫:私、彼ら2人と知り合いなので仲介に入ってきます!
正菜:頼んだ。まずい・・・なるべく記憶喪失だということは伏せておきたい!記憶喪失だとバレると頻繁に会いにくる可能性があるからな。
そして夏姫は慎二達の方へ行こうとしたら・・・
裕輝:あ、ごめん足滑った。
涼太が口を開く前に裕輝が現れて涼太を蹴り飛ばした。
一同:えええええええ!?
涼太は気絶した。ていうか天邪鬼の涼太を一発で気絶させるということは裕輝は相当強い力で蹴ったということである。
慎二:え?あの・・・久利生さん?何してるの?
裕輝:ああ、足滑っただけ。
美砂:いやいや!あがぁな勢いで怪我しとる涼太をけつったら危なかろ!
夏姫:ちょ、裕くん!何してるのよ!
すぐに夏姫は涼太に駆け付けた。
裕輝:あ〜あ〜、あんな蹴りでのびるたぁこいつも軟弱になったもんだ。夏姫、お前こいつ連れて家に連れてけや。
慎二:それだったら俺が連れて帰らさせるよ。2人はデートしに来たんだろ?空気読んでやるよ。
夏姫:違うし!ていうか古畑さんだってデートなんじゃないですか?
美砂:わかる?
慎二:違うよバカ。誰がこんな松岡修造女とデートなんかするかよ。
美砂:殴るぞ。
裏で見かねた正菜が出てきた。敦は敦子と美砂が知り合いであるため、出てくるのはやめておいた。
正菜:私が彼を木陰で休めておくさ。君たちはデートしてくるといい。
裕輝:はっ、別にデートじゃねぇよ!なんだ、正菜姐さん来てたのか?ちゃっかり浴衣着てよぉ。全く、家出なんかす・・・(ボコッ!
正菜は裕輝が台詞を言い終わる前にぶん殴った。
裕輝:テメェ・・・何するんだ!
正菜:私を愚弄するな。しかも、彼らが涼太の友人だというならなおさら私の恥部を見せるな。殴るぞ。
裕輝:殴ったの間違えだろうが・・・。(小声で)ま、だけど桐谷連れて帰るべきだ。アイツらいたら危険すぎるだろうが。
正菜:そうもいかないのさ。彼は昔、夏祭りで思い出があると彼のお姉さんから聞いたのだ。
“もう5年以上前の話だけど・・・あの子、夏祭りにある大切な人との思い出があるの。もしかしてそれがきっかけになるかも・・・”
裕輝:誰だよ・・・その大切な人って?
正菜:彼のプライベートのことだ、あまり深くは追及しなかった。まあ平たく言うと知らん。
慎二:さっきからボソボソと何話してるの?ていうか彼女〜、名前正菜って言うの?可愛いね?俺とデートしない。
美砂:なっ・・・
正菜:何だこのチャラ男。悪いが私はチャラい男はタイプではない。ではな。
正菜は涼太を担いでベンチまで連れて行こうとしたが、なんせ身長180cm後半、うまく担げなかったところ、敦がヘルプで現れ、連れて行った(美砂には素顔が見られないように)。
正菜:やり方は酷かったが助かった。相変わらず裕輝は乱暴なのだな。
敦:それ、正菜姐さんが言うんだ〜。
今はリンゴ飴を食べている。
正菜:やはり君たちに会ってよかったよ。心の整理ができそうだ。
敦:何?家に帰る覚悟でもした〜?
正菜:それはまだ。だが少なくとも彼がもとに戻るまでは一緒にいるつもりだ。
この時、俺は夢を見た
あれは10歳の夏・・・
白い浴衣を着たとても美人な女性と・・・俺はこの通りを歩いていた。
そして・・・そう、このベンチで俺と彼女は座って一緒にリンゴ飴を食べていた。そうしたら彼女はこう言った。
“お前は天邪鬼だ。どれだけ足掻こうがその現実は変わらない。だが、人間であれ天邪鬼であれ最悪な奴は心が・・・魂が荒んでんだよ。
だからこれからお前がどんな人生を送ることになっても・・・その魂だけは捻じ曲げるなよ”
続く