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NO.42『譲ってよ』


裕香：涼太、お前記憶戻ったのか？

涼太：いや、まだ。ただ・・・身体が勝手に動いてさ、そうしたら今、色々な記憶が戻っているトコだ。


と言って手に持っていたナイフを地面に落とした。その瞳は以前までの何か自信がないようなものではなく真っ直ぐでイケメンなものに戻りつつあった。


夏姫：まあ身体が勝手に動くって言うのはりょーくんらしいけどね。でもこれ・・・

裕香：そうか、涼太はスゲェ飲み込みが早いっていうスキルがあるんだ。今の反応でそのスキルを使ったことで今まで飲み込んで来たことを思い出してるんじゃ・・・って解説でよい？

夏姫：うん、馬鹿な裕ちゃんにしては上等よ。

裕香：うるさい。

イザナギ：ふふふ・・・アハハハハ！


急に大きな声で笑い出した。そしてその姿は不気味なものであった。


イザナギ：思い出したんだ。あ〜よかった、このまま思い出さなかったら僕がイザナミに怒られるところだったよ。

涼太：お前、何者だ。確かイザナミの知り合いとか言ってたな。

イザナギ：いやだな〜、そんな怖い目で見ないでよ。せっかくのイケメンが残念だよ〜。あ、勘違いしないでね？僕別にホモじゃないから。

裕香：コラ！違う方向に話を持ってくな！

イザナギ：いいよ、じゃあ一つだけ教えてあげる。




“僕は君たちの敵だ”




裕香：・・・・・・は？そりゃわかってるよ！ナイフ投げてきたんだからよ！

イザナギ：僕は小説風に言うと悪役なんだよ。そして、本来ならもう少し後に登場する予定だったんだ。君の記憶喪失という事件が起きなければね。

涼太：何を・・・

イザナギ：詳しくはイザナミに聞きなよ。クスクス、じゃあね〜！

裕香：オイ、コラ待て！逃げんな！



イザナギは細い路地にスッと入った。裕香はすごいスピードで走って追ったがその路地にはイザナギは見あたらなかった。まあつまり見失ったということである。


裕香：アイツ！どこ行きやがった！次会ったら今度こそぶん殴ってやるコノヤロー！

涼太：裕香、口調。

夏姫：ていうか・・・



夏姫は涼太に顔を近づけた。夏姫は美少女であるため、女性にあまり興味のない涼太でも若干頬を赤らめることになる。



夏姫：りょーくん、もう記憶は戻ったの？

涼太：ああ、もうバッチリ。心配かけて悪かったね。



と言って涼太は夏姫の頭にポンっと手を置いた。



裕香：お、オイ！私だって心配したんだぞ！私にもなんか声かけろよ。

涼太：あ、ああ。悪かったよ・・・裕香。

夏姫：まあ良かったよ、取りあえずりょーくんの家に戻ろうか？






涼子：いや〜、やっと外に出れた！なんかここ最近全然交代してなかったもん。

美里：それにしても記憶が戻って本当によかったわ〜。



と言って美里は涼子をぎゅっと抱きしめる。


記憶が戻ったことで精神的にも安定した涼太はちゃんと涼子に交代出来るか帰ってすぐに試してみたのである。ゆえに、今は涼子が外に出ているのである。



涼子：心配させてごめんねお姉ちゃん。涼太の奴がとんだお人好し野郎だったからね。で、あの人は無事？

美里：あの人？

涼子：あの・・・自殺しようとした黒マスクさん。

美里：ああ、無事よ。あなた達が命を張って助けたおかげでね。けどもうあんな無茶しないでよ。本当にもう・・・

涼子：お姉ちゃん・・・


美里の目は若干涙ぐんでいた。そしてその後ろには正義がいた。


涼子：赤西くん・・・

正義：涼子、無事で何よりだ。

涼子：本当にそう思ってるの？相変わらず何考えてるかわからないよね。それで？

正義：何だ？

涼子：帰る気にはなった？確か少なくとも私の記憶が戻るまでは帰らないとか言ってたらしいじゃん。じゃあ私の記憶が戻ったから帰る？帰るでしょ？つーか帰れよ。

正義：嫌だ。

涼子：ハァ!?

正義：と言いたいところだが学校もあるし、しばらくしたら帰るさ。いいものも見れたしな。旧友が相も変わらず変わらずにいるというのも悪くはないものだ。

涼子：何？なんかムカつくんだけど。


そして正義は涼子の家から出ようとした。そして出ようとしたとき、彼はこう言った。


正義：お前がさっき言っていたイザナギという男。イザナミの友人であり敵。よくわからない奴らだが・・・悪い予感しかしない。気をつけろよ。

涼子：うん、そっちもね。



そして正義たち（一緒にいた裕香と夏姫もいたため『たち』である）は家を出て行った。





涼太：よお、お前とこうやって話すのも久しぶりだな。

涼子：そうね、あんたのせいで随分長い間出られなかったじゃない。

涼太：しばらくお前に身体譲るからそれで勘弁してくれない？

涼子：ふふ〜ん、1週間は譲ってよ。

涼太：え?マジ？











？：ふぅ、やっと日本に着いたぞ。


ここは成田空港。アメリカからの飛行機である女性が東京に来たのである。


？：久しぶりに涼太や涼子に会いてぇなァ。取りあえず私用を済ませてからか。



また新たな出来事が起こる予感。







同窓会篇完






続く