コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 ( No.3 )
- 日時: 2013/05/18 17:48
- 名前: 莉遠 (ID: THBfOZma)
No.1 『おい、出てこい』
あれは昨日、イトーヨーカドーに行った時のことだった。
すれ違っただけだったけど、すごくいい香りがして、横顔を見ただけなのにすごいドキドキするほどの美人だった・・・
そう・・・名も知らぬ彼女に、一目惚れをしてしまった
涼太:で?何?何ですかそれ?
慎二:だから、一目惚れをしてしまったんだってば!胸がドキドキして今でも胸がいっぱいで食事に集中できん!
ここは旭野高校、今は昼休み。2年A組、窓側の一番後ろの席で涼太と慎二は食事をしている。
慎二:あの子、横顔を見ただけだったから・・・、ただなんかお前に似ているような気がしてさ。
涼太:はい?え、どういうこと?
慎二:だから名も知らぬ彼女に恋をして、彼女はお前に似てたんだよ。だからひょっとしてお前の親戚かな〜って。
涼太:あ、いや、聞きたくもないけど一回聞いたらわかるわ。ちなみにそれ、何時の話?
慎二:いや?昨日の・・・昼、2時ごろだったかな。
涼太には心当たりがあった。昨日の昼、俺はイトーヨーカドーに多分行った。多分だ、部屋にはイトーヨーカドーの袋があった。まさか・・・
急に涼太は立ち上がった。
慎二:え?どうした涼太?急に・・・
涼太:ちょっと・・・トイレ行ってくる!!
と言ってトイレまで涼太は猛ダッシュした。そしてスマートフォンの鏡アプリを起動した。もちろん涼太自身が映っている。
涼太:おい、出てこい涼子。いくつか聞きたいことがある。
天邪鬼の性質その1・鏡で自分を映すともう一つの人格の意思により、その人格の姿が映る
少し難しいかもしれないが、今、この状況を説明すればすぐわかるだろう。
涼太が涼子を呼びかけた。そして涼子がそれに応じた。今、鏡には涼太ではなく、涼子が映っているのである。
涼子:も〜、学校で私を呼ぶなんて不用心だね〜、どっしたの?
涼太:どうしたのじゃねぇよ、さっきの話聞いてたんだろ?古畑に一目惚れされるって、何やってんだってこと!
なぜこんなに怒っているかと言うと、彼らは勿論天邪鬼であるということを隠しており、桐谷涼太として行動しているために涼子の存在を知られては困るためである。
涼子:そんなこと言ったって、それじゃ私外へ一歩も出られないじゃない!いくらなんでも、古畑くんに恋心もたれるなんてアンタでも想像できないでしょ!
その通りである。涼太は言葉につまった。
涼子:まあ気を付けるけど、アンタも適当に返しておけばいいじゃない。そんなに怒るなんて、まったく子供なんだから。
涼太:ったく、わかったよ。
この会話のあと、鏡の中の涼子は消え、再び涼太の今の顔が映った。とても困った顔をしていた。
慎二:おお、桐谷?なんかスゲェ勢いでダッシュしてったけど、腹でも壊したのか?
涼太:いや、もう大丈夫だから・・・
まだきらきらした顔をしている。涼子のどこにそんなに惹かれるんだか。
〜そして授業が終わり、家に帰った。
涼子:そんじゃあ、これから3時間は私の時間ね、変わって。
涼太:はいはい。
今、涼太と涼子は鏡越しで見つめあっている。次の瞬間、鏡が光り、涼太と涼子の立場が逆転した。つまり、涼子が現実世界に、涼太が鏡の中にいたのである
涼太:で、今日はどこに行くの?
涼子:ちょっと・・・ね。
そのちょっとが、この後面倒くさい事件を引き起こすのを、涼太も涼子も知る由もなかったのだ。
続く