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Re: 彼は天邪鬼 【総選挙開始!ご協力お願いします】 ( No.380 )
日時: 2013/10/19 21:23
名前: 莉遠 (ID: leOS3oG6)

NO.52『男だよ』


慎二:よっしゃ〜!これで明日の文化祭はバッチリだな!

涼太:ああ、外装、内装。ともになかなかクオリティ高いと思うぞ。ただ、一つ気になるのは・・・

慎二:何?

涼太:衣装だ。当日届くって話だけどよぉ・・・

慎二:お前の身長が高いの知ってるからよ、サイズはLにしといてやったから大丈夫だぜ。

涼太:そういう問題じゃねぇよ・・・


問題は・・・どんな衣装かと言うことだ。当日のお楽しみと衣装係に言われたため、涼太はまだ知らないのだ。


涼太:まあいいや。変なものだったらお前を殴るだけだから。

慎二:え、やめて〜



そして涼太は家へ帰ろうとしていた。現在夕方6時。もう辺りは真っ暗だ。帰ったら涼子に体交代しなきゃなどと考えていて下駄箱へ向かって歩いていた。

だが、その下駄箱で、すごく深刻な顔をした少女を見つけたのであった。



涼太:あの・・・どうしたの?麻美ちゃん・・・?

麻美:ひっ、りょ、涼太先輩・・・?いや、あの・・・その・・・

涼太:いや、ど、どうした?なんかあった?ちょっと涙目じゃん?

麻美:あの・・・涼太先輩。


麻美はうつむいていた顔を涼太の方へ向けた。


麻美:涼太先輩は・・・男ですか?

涼太:は!?ちょ、何言って・・・

麻美:答えてください!男ですか!?



何だ急に・・・。この子とはちょっとしたことで知り合ったただの先輩後輩。何もヘマをした記憶はない。ひょっとして涼子を見られた?いや・・・ここは探りを入れるか?



麻美:涼太先輩・・・?

涼太:お、男だよ。紛れもない。

麻美:そうですか。それはよかった、こちらへ来てください。

涼太:は?ちょ、どこ行くの!



麻美に手を引っ張られて、涼太は女子サッカー部の部室前に連れられた。一応設定的には麻美ちゃんは女子サッカー部のマネージャーさんです。



涼太:あの、女子サッカー部の部室に何か?

麻美:奴が・・・いるんです。どうか助けてください!

涼太:奴?

麻美:気配を隠し、私たちの周りをウロウロしてくるんです!

涼太:何それ?変態ストーカー?そいつぁ成敗しねぇとなァ・・・

麻美:そうですよ!あの黒くてテカテカしててカサカサ動く女子の敵!あいつが!アイツが!彼奴が!今ここにいるんです!

涼太:・・・あのさ、それ、ひょっとしてゴキ・・・

麻美:その名前を口にするなァァァ!





バコッ!涼太は麻美にぶん殴られた。





涼太:痛たたたた。要するに、この中にGが現れて、そいつを俺に倒してほしいってこと?

麻美:は、ハイ・・・取り乱してしまって申し訳ありません。その、学園のアイドル、涼太先輩を打ったとなると・・・色んな女子に殺されますね。

涼太:別に大丈夫だろ〜。お前強いし。つーか俺を殴る元気あるんだったらそれをGに向ければいいんじゃねぇの?

麻美:だって・・・あれだけは、無理なんです・・・。



正直天邪鬼だと勘付かれたというわけではなさそうなので涼太はほっとしている。だが、G(ゴキブリ)退治とか・・・どんなシュールな回にするつもりだ?今回。



涼太:しゃーねぇな。そんじゃあ、このスリッパで一発叩いて始末してくるから・・・

麻美:いけません!

涼太:ハァ!?なんで!?

麻美:奴の体内エキスが涼太先輩のスリッパに浸透してそのウイルスが涼太先輩にとりついたらどうするつもりですか!?

涼太:何言ってんだお前!ゴキブリは超生物か?

麻美:だからその名を口にするなと言っている!!





スパン!






涼太:痛たたたた・・・じゃあ、新聞紙で俺のスリッパを巻いておいた。これでいい?

麻美:ハイ・・・すいません。


キレた時は意外と見境ない麻美ちゃん。涼太を殴れる女子は、この学園の中で彼女だけであろう。



麻美:あの・・・大丈夫ですか?

涼太:まず、奴がどこにいるか察知する。生物で生きているんだ、いくら気配が薄いとはいえ、ゼロではないだろ?神木ほどこういうのうまくないが・・・神経研ぎ澄ませるか・・・



涼太は瞳を閉じて、五感を研ぎ澄ませた。麻美はその後ろで隠れているのだが・・・



麻美:いますかね・・・

涼太:しっ、ちょっと黙って。

麻美:ハイ・・・すいません。



風の音・・・文化祭終わりで皆が帰っていくときに立てている足音、時計の音・・・研ぎ澄ませろ。奴は・・・






カサッ・・・・





涼太:いたっ!おそらくあのロッカー裏だ!

麻美:嘘っ!?マジですか!?


天邪鬼である涼太は、気配には人より敏感なのである。


涼太:見えた、あれだ!よし、一気につぶ・・・

麻美:嫌ああああああ!




カチッ!バタン!カシャッ・・・





麻美は部室の電気を切り、ドアを閉め、鍵をかけた。



涼太:あの、麻美・・・ちゃん?何・・・やってんの?

麻美:ぐすっ、もう耐えられない・・・このまま鍵を返してきます!

涼太:耐えられないのは俺だァァァ!ゴキブリのいる部室で俺だけ閉じ込めやがって!しかも真っ暗だからどこにいるかわかんねぇし!電気!電気どこで付く?

麻美:あの・・・ドアのすぐ近くです。

涼太:ったくもう・・・女子の部室に一人でいる男って・・・一歩間違えれば俺ァへんた・・・




ぐしゃっ!






涼太:・・・・・・・・・・・・

麻美:あの、涼太先輩?

涼太:あ、あ、あのさ・・・麻美ちゃん。もうゴキブリは倒したから、鍵あけて。そして・・・扉開けずにもう帰れ!

麻美:え?どうして・・・

涼太:俺がお前に嫌われるからに決まってるだろうが!





その足にはつぶれた『ピー』がいた。










続く