コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【総選挙開始!ご協力お願いします】 ( No.423 )
- 日時: 2013/11/21 17:40
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: leOS3oG6)
NO.60『あげねーし』
麻美:同情はやめてください。勝者はあなた方です。折角店舗の中を調べて肉が出てきそうな場所を特定し、近道して行ったのですが・・・負けは負けです。
裕香:へぇ、スゲェなその執念。なんでだ?
麻美:説明する理由はありません。失礼します。
涼子:ちょっと待ってって!
涼子は麻美の手を掴んだ。そして麻美は涼子を見て、驚いたような顔をして言った。
麻美:あなた・・・涼太先輩に似てますね。
敦:そりゃ〜そうだよ。なんたってこの子キリくんと・・・
スパン!思いっきり涼子に殴られた。勿論、天邪鬼の本気のパンチだから敦は尻をつくが、そういう彼も天邪鬼なのでパッと見普通に女の子が男を殴っている絵になっているのである。
麻美:キリくんと?
涼子:し、親戚なのよ。桐谷涼太くんでしょ?うん、よく言われる!そういうあなたは旭野高校の生徒でしょ?制服的に!
麻美:はあ・・・なんか必死ですね。
涼子:な、何が?
裕香:まあまあ、その話はあとでな。で、麻美っつったっけ?どーしてそんなに肉が欲しいんだよ。
麻美:いえ、実は・・・今日、入院していた母が帰ってくるのでその為に性が付くお肉が欲しくて・・・
なるほど・・・だが、涼子は一つ気がかりだった。確か麻美は医者のお嬢様だからいわゆるお金持ち。そんなにお金に苦労しているわけでもないのでこんなセールでがっつく理由がわからない。ていうか、フランスからの帰国子女ががっつくイメージも全くわかない。
本来なら初対面なのでそのことを突っ込めずにいた涼子だった。だが、そこへ・・・
敦:その鞄、学生用かばんの中でもブランド物だよね〜。とってもボンビーなお嬢さんには見えないんだけど〜?
とあっくんが質問してくれた。
麻美:それは・・・私のお小遣いで買いたいからです。お小遣いはそれなりにしかもらってないので・・・
裕香:けどよ〜、母ちゃんにあげるとしても、おっとっつぁんが出してくれるんじゃねぇのか?
麻美:誰が母にあげると言いましたか?
は?
涼子:え?違うの?
麻美:ペットのイチローのためのものです。私が飼うと言ったので、食費などの全部の費用を私が負担しているのです。
裕香:いや、全然お小遣いそれなりじゃねぇじゃん!スゲェもらってんじゃんよ!
麻美:いえいえ、今月ももう終盤にさしかかり、ペット代とジュエリー代でほとんど使い切っているのです。
敦:ジュエリー代?ジュエリー代って言ったこの子〜。超お金持ちじゃ〜ん。ひょっとしてアカくんと同じレベルなんじゃないの〜?
裕香:いや、アイツ昔アメリカのディズニーランド貸切にしたり、マイケルジャクソンのコンサートVIP席で行ったりしてるよ?流石にそれ以上いく?
麻美:いえ、さすがにそれは無理です。
敦:てゆーかー、ペットのために食う肉だったらあげないよ。俺、家族のための肉だもん。
麻美:イチローは家族同然です。犬も人間も関係ない。彼だけお肉を食べられないなんてかわいそうです。
涼子:つーか帰国子女のペットがイチローなのよ!ちょっと麻美ちゃん、色々ツッコみたいんだけど何からツッコめばいいのかわかんないんだけど!
まあ要は、彼女が肉を欲している理由は、母の退院祝いに家族の皆で肉を食べるのだが、ペットのイチローにも肉を食べさせたかったというわけである。当然そんな理由・・・
敦:あげねーし、むしろ金ちょーだい。
と言うわけであります。
麻美:困りましたね・・・弟にも約束したのです。黒毛和牛を買ってくると・・・
裕香:それって黒毛和牛じゃなきゃダメなのか?ふつーの肉とかさ。
麻美:私たちは松坂牛を食べるのですよ。イチローにもそれなりにいい肉を食べさせてあげたいです。
涼子:あの・・・弟と約束したんだよね。
麻美:そーだよ。
涼子:弟のお小遣いと合わせれば買えるんじゃないの?弟も小遣いそれなりにもらってるんでしょ?
あ・・・・
麻美:・・・・・・その手がありましたね。
裕香:いや、それでいいのか?そこまでして黒毛和牛欲しいんか!
麻美:ありがとうございます。それでは、急いで帰って弟と相談していきます。あの子の貯金は把握しています。大丈夫です。
涼子:お母さん?お姉ちゃんじゃなくてお母さん?
と言ってなんやかんやで一件落着。今回はお肉を買う話と言うおそらく今までで一番シュールな話になってしまった。その代わりと言っては何なのだがちょっとシリアスな話を挟んでおこう。
イザナギ:天邪鬼って知ってますか?
?:知ってるぜ。男と女が一つの体に宿った化け物だろ。だがあれは空想上の生き物。それがどうした?
イザナギが京都のある所で一人の男と話していた。その男は、着物を着ていて今の時代にそぐわぬキセルを吸っていた。
イザナギ:もし、そいつが現実にいたらどうしますか?知ってますか?スカイツリーのジャック事件。展望台から落ちた人は何とか生き残ったという。普通に考えておかしいと思いませんかね?
?:・・・・・・だからなんだ?
イザナギ:いや〜、もし実際に、天邪鬼がいたら、あなたがどうするか気になっちゃって。どうします?
?:・・・・・・んなもん決まってんだろ。
“悪は消す。それが俺たちの仕事だ。”
次回、陰陽師篇始動!
続く