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Re: 彼は天邪鬼 【もうすぐ陰陽師篇開始】 ( No.452 )
日時: 2013/12/13 22:34
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: lITb0hIn)

NO.61『名前くれぇ名乗っといてやるよ』


夜は暗い。周りは闇だ。上を見れば月と星があるのみ。その光は太陽の光のごとく道を照らしてくれるわけでもない。

妖が闇だとすれば、陰陽師は光・・・と言いたいところだがそれは違う。陰陽師こそが真の闇。闇を消すために生まれた闇。

光とは・・・いい意味でも悪い意味でもこの世界には存在するのだろうか?





涼子:う〜〜ん、やっぱ白さんって美人だよね〜。

真白:どうしたんですかね?急に。おだてても何も出ねぇよ。私は今月もピンチだからさ。

涼子:いや、そこをドヤ顔で言われても・・・


本日は休日、土曜日である。その為、朝でも家にいる涼子と白さん。ちなみに、元陰陽師である白さんは和服と慣れ親しんでいるため、休日は和服で過ごしている。


涼子:でも、白さんってホント着物似合うよね。まさに大和撫子ってやつ?いいな〜・・・

真白:何言ってんだ、テメェに言われたら皮肉にしか聞こえねぇよ。お前が可愛い着物したらどんな男もイチコロだぜ?マジで。

涼子:いや、いやいやいや・・・そんなわけないじゃん!白さんのそのダイナマイトボディに勝てるわけないじゃん!

真白:どこ見てるんだよ。そんじゃ、まず服脱げ。

涼子:へ?

真白:私のお古でよけりゃ着させてやるよ。身長もあんまかわんねぇしな、涼子ちゃん似合うと思うぜぇ・・・


と真白は可愛らしい着物を持ってニヤニヤしていた。




そして30分後・・・・・・




真白:ハイ、着付け完了〜。似合ってるぜ、やっぱそういうガラの服ってのは若いうちにしか着れねぇもんな。この着物お前にやるよ。


白さんによる着付けが終わった。その姿は本当に美人であり、超絶似合っていた。まあ元から美人なんだけど。


涼子:え?でもいいの?着物って高いんでしょ?

真白:ん〜、まあ高いけどいいよ。私はお家柄、着物はいっぱ〜い持ってんの。しかもそれ、私服だったしな。じゃあ行くぞ。

涼子:行くってどこへ?

真白:散歩だよ散歩!絶対ナンパされっからな涼子。

涼子:ちょ・・・そんなことないっての!


と言うことで真白の言うがままに外に出て、散歩を始めた2人。着物っていうのもあるが、美人2人が歩いているため、視線が沢山感じた。

常に視線を気にしている生活をしてきた涼子にとっては、なかなかつらいものがあった。なので、ビクビクしていた。


真白:怖いか?自分が普通の人じゃないことがバレんのが?

涼子:え?そんな・・・ことないよ。

真白:たとえそうだとしても、お前は悪い奴じゃねぇよ。胸張って歩けばいいんだよ。お前がビクビクする必要はねぇよ。

涼子:白さん・・・


この人は・・・ちょっと言葉は乱暴だけど本当にやさしい人だ。


家を勘当されて陰陽師をやめたと言っていたけど・・・一体何があったんだろう?本当は聞きたいんだけど、この人はあまり自分の過去を話したがらない。意外とこの物語は私たち天邪鬼以上に謎な人物じゃないだろうか?



真白:んじゃ、折角着物デートしてんだし、どっか喫茶店にでも入るか?

涼子:え?散歩だと思ってお金持ってきてないよ?白さん・・・お金出さないよね。


そして真白は自分の財布の中身をチェックする。そしてそして、顔は青ざめた。


真白:ちょ、そこのATMでお金少しおろしてい〜い?いや、お金はあるのよ?ただ財布にはあまり入れないタイプでその・・・

涼子:あ、うん、もういいよ。ここで待ってればいい?

真白:おう、ナンパされても突っ返せよ。



と、白さんは近くのATMでお金をおろしに行った。




全くナンパか・・・。本当は「そんなん絶対ない!」と言いたいところだが、普通の格好でもナンパされたことは何度かある。まあしつこい男は皆蹴り飛ばしたが・・・


そんな中、一人の男性が自分に声をかけてきた。



?:お前・・・名前は何と言う?

涼子:え?えっと・・・



またナンパかと思ったがおそらく違う。その男は私と同じで着物を着ていた。そしてキセルを吸っていた。目つきは鋭く、ナンパしてくるようなチャラついた男の目ではなかった。



?:言う気はないというわけか・・・。ま、俺には関係ないがな。



と、その男はニヤリと笑い、手を腰のところに持ってきた。羽織によって少し隠れているが、腰には間違いなく刀のようなものがあった。



涼子:ちょ、アンタ誰?こんな街中で何する気?

?:街中?そんなん関係ねぇよ。妖相手なら俺たち陰陽師はすべてを許されている。

涼子:陰陽師・・・ですって!?



この人・・・白さんと同じ匂いがする。多分相当できる!とにかく・・・逃げなきゃ!


取りあえず、人気のない路地に入り込んだ。だが天邪鬼とはいえ、女子であり、動きにくい着物を着ているため、なかなか陰陽師との距離は広がらなかった。


そして前から着物を着た若者が3人現れた。格好的にもおそらくは陰陽師であろう。つまり、気が付いたら涼子は囲まれていたのだ。



涼子:・・・・・・一体何なんですか?私、あなたたちになんかした?

?:今逃げたってことは自覚あるってことだろ?まあいいや、死に土産だ、名前くれぇ名乗っといてやるよ。



そしてその男は煙管の煙を吐き、名乗った。


?:俺の名前は松坂 黒鉄(まつざか くろがね)。現陰陽師の当主だ。陰陽師の名に懸けて、悪の根源になりうる天邪鬼を駆逐する。









続く