コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 彼は天邪鬼 【陰陽師篇開始】 ( No.471 )
日時: 2013/12/31 18:16
名前: 莉遠 (ID: 5K27D2Vq)

NO.65『夢見たいな話なんだけど』


イザナミ・・・たまに天邪鬼の夢に出てくる不思議な少女。そう、現実では一度も会ったことはない。だから、何かあるとは思っていたが、現実に存在する人物だとは思わなかった。


だが、目の前にいる少女、彼女は紛れもなくイザナミだった。


イザナミ:やあ、会いたかったよ、涼子ちゃん!

涼子:イザ・・・ナミ?イザナミ?嘘・・・何で?え?ここ夢の中?


と思って頬をつねるが、痛かったのでここは現実だ。だが、イザナミと共にこの風景、やはり夢で稀に見る風景であった。



真白:オイ、アイツはお前が前言ってたイザナミって奴なのか?だけど・・・夢の中でしか会わないって話じゃなかったっけか?

イザナミ:そうだよ、実際ここは現実の世界じゃないよ。そうか、君のこと、どうも知らないと思ってたら陰陽師だったのか。なんか細工したのか?俺に知られないように。

涼子:え?どういうこと?

真白:ほら、お前に昔、お守りあげたろ?あん中に札が仕込んであったんだよ。ステルス効果の札をな。まあ、目的は他の陰陽師に見つかった時に私とは無関係と言い張るための・・・

涼子:ちょっと白さん!怒るよ!

黒鉄:違う!ツッコむトコ違うぞ!問題なのはここが現実世界じゃねぇって台詞だろうが!


確かに、黒鉄さんの言うことは至極全うでございます。


イザナミ:そのままの意味だよ。ここは俺が住んでいる異空間なんだよ。大丈夫。しばらくしたら元の世界に戻してあげるからさ。

黒鉄:何の目的でだ?

イザナミ:う〜ん、どう言おうかな。これだね。




“完全なる復活”




急に声のトーンが低くなった。今まで飄々と、明るく話してきたが急に雰囲気が変わった。


涼子:復活・・・

イザナミ:条件はたった3つ。すごく簡単だよ。一つ目は・・・退魔剣。


イザナミの手には退魔剣があった。それはさっきまで黒鉄が所持していた物であった。


黒鉄:あ、てめっ!いつの間に!

イザナミ:二つ目は・・・天邪鬼!



気がついたらイザナミが目の前から消えていて、涼子の後ろにいた。そして涼子にぎゅっと抱きついた。


涼子:ちょ・・・いつの間に!

真白:こいつ、速いとかそういう次元じゃねぇ!

イザナミ:そして・・・最後に、この場所。実は、君たちがさっきまで立っていた場所の真下には俺が封印されていてな。だからこの空間まで引っ張ってこられたのさ。ま、そうなるようにイザナギに仕向けてもらったんだけど。

黒鉄:封印だと?

真白:・・・・・・昔々、妖の根源と呼ばれる“鬼神”が人々を毎日のように食らっていました。その鬼神はとても強く、どんな力持ちな人間でも敵いませんでした。

その頃、ある不思議の力を持った人間が生まれました。その名は“かぐや姫”。少しお転婆な女の子でしたが、妖に匹敵する力を持っており、そしてその優しい性格から沢山の人々が彼女を慕いました。

彼女が成熟し、いよいよ鬼神に挑もうとしたとき、運悪く不治の病にかかってしまいました。彼女以外に鬼神を倒せる者はいない。そう考えた彼女は、これから力を持つ人間が生まれるように神様に祈り、そのまま土の中で眠りにつきました・・・・・・



かつて(NO.51>>370)白さんが話していた伝記をこの場で再び述べた。



黒鉄:あん?どういうことだ。そりゃ、陰陽伝の一説だったか?

真白:お前、イザナミなんぞと言ってはいるが、この“かぐや姫”ってお前だろ。土の中で眠りについたってか、力を未来に残すために地中に封印されたってのが正しいんじゃねぇのか?

涼子:!?

イザナミ:その通りさ!さすがは陰陽師だね。俺の本名は“かぐや姫”で間違えないよ。そんな話が陰陽師に残ってるんだね。その伝説に残った本人が知らないなんておかしな話だよ。

真白:ちなみに、この鬼神ってのが・・・


と言って真白が顔を向けた、その目線の方向にはイザナギがいた。


イザナギ:あ?うん、僕僕。僕、イザナギって名乗ってるけど、人間からは鬼だとか言われてたなぁ。

涼子:な、なんか夢見たいな話なんだけど。

イザナミ:夢じゃねぇよ・・・涼子ちゃんの力さえありゃ俺は現実に復活出来るんだ。もう、土の中で暮らすのは嫌なんだ。協力してくれるよね。

真白:だけど、お前、病なんじゃねぇのかよ。

イザナミ:病?そんなもん俺にはねぇよ。聞きたいかい?俺がどうしてこんな状況になってるのかを。何でお前たち陰陽師が存在しているのかを。だけど、それは俺が復活してから、ね?

涼子:え?


イザナミが持っていた退魔剣が光り出した。そうしたら涼子は体中が熱くなってきた。


涼子:な、何これ・・・!?

イザナミ:ごめんね。ちょっと熱いけど・・・我慢してね。



退魔剣の光が収まったとき、今いる空間から元の場所に戻っていた。しかし、そこにはイザナミもいた。




涼子:ハァ・・・ハァ、どういう・・・こと?

イザナミ:・・・天邪鬼の記憶から今の世界がどうなってるか知っていた。知ってたけど目の当たりにすると・・・本当に醜いものだ。




イザナミ、完全復活!






続く



少しわかりにくいので今の現状を整理しますね


イザナミは元々かぐや姫という異能力者であり、鬼神ことイザナギを倒すために地中深くに封印されていた。それがどういう理由かは謎だが、イザナギと協力して、封印が解かれたという感じです。