コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【陰陽師篇完】 ( No.499 )
- 日時: 2014/02/10 21:39
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: glXVlHlM)
NO.71『やるっきゃねぇ!』
まあ酷かった。ボーリングの勝負と言っていいものか謎だった。
2年生チームは桐谷くんは毎度ストライクを出したが、雛罌粟と慎二はあまりうまくはなく、結局スコアはそこそこで終わっていた。
3年生チームは慎二の精神攻撃により、スコアは思ったより伸びなかった。
と言うことで、現在お互いに100くらいでほぼ同じスコアとなり、ラストの投球を迎えていた。
つまり、ここで結果を出した方が勝つと言う場面だ。
2年生チームは雛罌粟、3年生チームは奈々瀬であった。
涼太:なあ古畑、まだネタ持ってるか?
慎二:いや、もうネタ切れだ。奈々瀬先輩は結構目立つ存在だったから噂も多かったんだけど、流石にそんなにたくさんはねぇや。
涼太:じゃあ、ここで炎泉に頑張ってもらうっきゃねぇってことな。今までの投球を見て・・・センスねぇんだよな
雛罌粟:ああ、任せておけ。必ず・・・ピンを倒して見せる。
慎二:あのね、雛罌粟君それじゃダメなの。出来るなら、2球で全ピン倒して、3回投げれるようにしてほしいんだけど・・・
雛罌粟:・・・・・・・・・頑張る。
涼太:オイ、自信ないだろ。自信持っていけ!
だが、雛罌粟君は健闘したものの、7ピン止まりであり、もし奈々瀬が3ピンでも倒したらアウトという状況に陥ってしまったのである。
涼太:マズイな。これはマズイ。今までの紅坂先輩の投球見てると、3ピンなんて余裕で倒してくるぞ。
慎二:もうこれは・・・諦めて奢るっきゃないんじゃねぇの?
涼太:いや、まだだ。まだチャンスはあるはずだ。
考えろ・・・もう古畑のネタは尽きた。精神攻撃はもうできない。だが、紅坂先輩を失敗させるとなると、もう精神攻撃しかない。
だが、彼をそこまでショックにさせられない。じゃあ逆・・・?彼を・・・笑わせればいいのか?または・・・驚かせること?
ちょっと待て。さっきNG集で奴は熟女好きって言ってたな・・・。それじゃあ・・・
奈々瀬:よっしゃ!余裕だぜ!決めてやる!
涼太:コホン、あ!あそこにアラフォーの江角マキコ似の美女が・・・
奈々瀬:え、えええ江角マキコォォォ!?あ!
一投目はガーターになってしまった。
奈々瀬:ちょ、どこどこ!その人どこ?
慎二:奈々瀬先輩・・・NG集だけの話じゃなかったんスね。
奈々瀬:え?・・・あ!
雛罌粟:余計な性癖自分からバラしやがって。しかもメンタル弱っ!そんな女いねぇよ。
奈々瀬:はああああ!?ちょ、ちょ、桐谷くん!お前普通に嘘つくんだな!お前爽やかに見えて意外と腹黒いんだな!
涼太:金のことになるとそりゃ腹黒くもなりますよ。ほら、早く2投目投げてくださいよ。もし、ここでガーターだったら・・・
フッと笑い、涼太は奈々瀬に近づき、口を耳元までもっていった。だいぶ近かったため、男たる奈々瀬も少しドキッとした。そして少しセクシーな声でこう言った
涼太:俺たち後輩に・・・奢ってくださいね
残念ながらここに女子はいないのだが、女子だったら皆倒れていただろう。
そして涼太は元いた席に座ったのだが・・・
慎二:なあ、次は何か策考えてあんのか?もう2度目は効かねぇぞ、今の技。
涼太:もう大丈夫だ。あの人、絶対はずす。
慎二:なんで?
涼太:イップス・・・のようなもんだ。
慎二:い・・・ぷす?なんだそりゃ?
雛罌粟:なるほど、そーいうことか。最後のお前のあの一言・・・何言ったか知らねぇが、結構来ること言ったのか?
涼太:別に。ただ俺。相手を緊張させるような声出すの、結構得意でさ。
イップスとは・・・スポーツ漫画とかでよく見られるやつだが、極度の緊張状態のせいで、体が硬直したりしてうまく動かなくなることである。
涼太くんの低音ボイスはなかなか人の心にグサッと刺さるような物言いを可能とするもので・・・故に今の奈々瀬は・・・
奈々瀬:(ヤバい・・・ここで負けたら終わりだ。しかも、俺の性癖とか黒歴史を散々古畑に暴露させられたし・・・ヤベェよ
と体中ガッチガチなのである。と言うわけで後ろで涼太はクスクス笑っているのだが、その姿はイケメンではあるが、何か怖かった。慎二はずっとドン引きしてます。
奈々瀬:やるっきゃねぇ!うおおおおおお!
だが、涼太の予想とは相反して、ガーターにはならなかった。だが、球はレーンの淵の方を走っていき、綺麗に2本だけ倒した。
涼太:・・・・と、言うことは?
奈々瀬:ひ、引き分け?
慎二:じゃあ・・・俺たち奢らなくていいの?
雛罌粟:ああ、俺のおかげだな。
スパンっ!涼太に頭をぶん殴られた。
涼子:よかったね、奢らなくて済んで。涼太お金大好きだもんね〜。
涼太:そういう涼子も・・・
涼子:ハイ、お金、大好きです・・・
帰宅後、涼太と涼子は話していた。
涼子:なんかこうして見るとさ、私たちって普通の人間で・・・こう、普通に高校生してる感じだよね。天邪鬼ってこと忘れちゃいそう。
涼太:何言ってんだ。こうやって鏡越しで話してる時点で人間離れしてるんじゃねぇの?
涼子:そうだけど・・・イザナミとかの話が・・・嘘だって思えちゃうんだ。なんで・・・私たちは天邪鬼として生まれてきちゃったんだろうね。今更こう言うなんておかしな話ってことはわかってる。ただ・・・彼女の話を聞いてから余計そう思うようになっちゃって・・・
涼太は何も答えられなかった。だが、これは事実であり、物事は着実に終末へと進んでいるのであった。
続く