コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 彼は天邪鬼 【陰陽師篇完】 ( No.509 )
- 日時: 2014/02/25 18:55
- 名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: 5K27D2Vq)
NO.72『グーでぶっ飛ばすけど』
先生:では、この問題を誰かに解いてもらおうかな。少し難しいけどわかる人いますか?・・・・・・では、浜名さん、お願いします。
麻美:はい。
ここは1年D組、涼太の1個下、浜名麻美ちゃんの所属クラス。先生に当てられた麻美は答えを黒板に書いた。
先生:はい、正解ですね。流石は浜名さんです。そう、ここは素因数分解をまず使ってですね・・・
そして麻美は再び自分の席に着こうとした。そうしたらこんな声が聞こえた。
“チッ・・・帰国子女は先生から愛でられてていいな〜”
“アイツ、金持ってるんでしょ?だったら勉強しなくても生きてけるじゃん。何でそんなに勉強してんの?馬鹿じゃない?”
などと先生に聞こえていない程度の大きさで陰口を囁く人がいる。この頃はいじめと言えるほど大きな問題ではなかった。ただ、帰国子女で金持ちの可愛らしい女の子のことを気にくわない人がちらほらいると言うことだ。
だが、その少数の人たちのいじめは、時が流れるほどエスカレートしていくものだ。人の嫉妬というのはそういうものだ。
麻美:きゃっ
麻美は歩いていたら躓いて転んでしまった。後ろを見たら、そこには足があった。つまり、足に引っかけて転んだのである。
女子A:あーあー、ひっどい転び方。いくら優等生でもこれじゃあ不細工ねぇ。
こんなの序の口だった。自分のロッカーを開いた高価なスクールバックがボロボロになってたり、帰りに靴箱を開くと、靴の中に画鋲がいっぱい入れられたりした。
昔はちょっとした陰口だけだったが、このレベルになるともういじめと言っていいほどである。麻美ちゃんは喧嘩は強いのだが、基本的に手は出さないのである。手を出すときは、相手が正々堂々やってきたときである。まあいわゆる「やられたらやり返す、倍返しだ!!」のときのみである。
彼女は医者の家系であり、こういう悩みを親にはとても言いづらいのである。いや、いじめ系統の問題であると、医者でなくても親には言いづらいものであろう。
だが、鞄がボロボロであり、何かあったことは一目瞭然。だから学校、部活が終わっても帰れずにいたのである。そのため、麻美ちゃんは公園のベンチに座っていた。
特に泣いていたわけでもなく、特につらく感じていたわけでもなく、ただそこに座っていた。そこへ、見覚えのある一人の女の子が通りかかったのである。
涼子:えと・・・麻美ちゃん・・・だっけ?どうしたの?こんなところで一人で・・・
麻美:・・・・・・あなたは私から肉を強奪した・・・
涼子:言い方!おかしいでしょ!
涼子は麻美が持つボロボロ鞄でいじめのことをすぐ察知した。そして、隣に座った。
涼子:君・・・いじめられてんの?
麻美:デリカシーのかけらもない人ですね。そんなことストレートに言うなんて。
涼子:いや、回りくどいこと言うのも面倒くさいと思ってね。君はそんな細かいこと気にするタイプじゃなさそうだけどね。どうしたの?
麻美:まあ・・・そうなんですけどね。あんまり目立ちたくないから実力行使は嫌で・・・かと言って親に知られたくないからこの状況を放置するわけにも・・・・・・
涼子:ふ〜〜ん、大変だね。私だったら即グーでぶっ飛ばすけど。
麻美:・・・・・・・・・すごいですね。
涼子:それで、本題戻るけど、麻美ちゃん的にはどうしたいわけ?
麻美はその時不思議とほぼほぼ赤の他人である涼子に話そうと思った。何だろう・・・この感覚・・・前にもあったような・・・・・・
アレは1年生になりたての時・・・フランスから帰ってきたばかりで、『日本人』というものをあまり知らなかった時だ。
別に日本語がしゃべれないわけじゃない。だけど・・・やはり日本人とフランス人の感覚は違った。少しずつズレがあり、あまり友達が出来なかった。
そして・・・・・・出会うのだ。
涼太:浜名さん・・・浜名さん・・・!
麻美:!?あ、すいません・・・少しボーッとしてて・・・・・・何でしたっけ・・・
涼太:このプリント・・・明日皆に配っておいて。生徒会役員選挙の告知。
麻美:あ、了解しました。
選挙管理委員、それが私の委員会であった。なぜ入ったか?この委員会はクラスでも一人だけが入るものなので、友達とか何も気負う必要ないと思ったからだ。
前期生徒会役員選挙が近いため、招集されてたんだ。さっきまで先生が前で説明していたがボーッとして何も聞いてなかった。委員会が終わってもボーッとしていたから、涼太先輩が声をかけてくれたんだ。
そしてその後、私は普通に帰ろうとした。そうしたら・・・
涼太:何か悩んでるの?1年生だし・・・友達関係かな?選挙管理委員に入ってるあたりもそう考えられるか。
麻美:・・・何でそんなことわかるんですか?
涼太:ボーッとしてる人は大抵そういう悩みを抱えてるの。まあ、友達が少ない先輩としては・・・相談に乗ってあげようか?
そう、ここで相談するのも馬鹿な話だけど、なぜか話してしまった。これが私と涼太先輩の初めての出会いだった。
続く