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Re: 彼は天邪鬼  ( No.537 )
日時: 2014/03/25 21:44
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: glXVlHlM)

NO.79『俺が護るからさ』


敦:じゃあ俺、学校行ってくる。終わったらすぐ帰ってくるから・・・それまでの間、お願いね。

美砂:任せんさい!

涼子:う、うん。行ってらっしゃい。


前回までの件で、美砂がインフルエンザの敦の妹・由紀のために敦が学校に行ってる間だけ面倒を見ることになったのである。だが、敦としては美砂は赤の他人だし、あんまり気の利くような子には見えなかったため・・・


敦:ねぇ桐谷ちゃん。お願いっ!

涼子:う〜ん、確かに美砂一人ってのも心配だし、わかったよ。


と、病院からそれぞれ家が帰ったのち、電話で敦が涼子に頼み、涼子と美砂が由紀の看病をすることになったのである。



美砂:それにしても、敦はすごいのぉ。朝ごはんと弁当、全員分作っておるんじゃな。しかも、色々手際いいし、気が利くし、強いんじゃのぉ。本当の親みたいじゃ。

涼子:まあね。あっくんは強いよ。

美砂:ウチぁ弱い。人にゃぁこうしてバンバン色々ゆうが、いざゆいたいこたぁゆえんし、行動でけん。結構こう見えて小心者じゃ。

涼子:ああ・・・古畑くんに告白できないってこと?

美砂:うん・・・あ、ち、違う!今のは・・・違う!

涼子:正直者〜。いい恋愛してんじゃんこのこの!


看病中に何してんだと言いたくなるが、当の由紀ちゃんは今ぐっすり寝てるからいいのである。


涼子:いいじゃん、いざと言う時小心者でも。それって、いい意味で言い換えれば慎重深いってことだよ。だから、悩んで悩んで・・・それで最後の最後で一歩踏み出せればいいんだよ。

美砂:・・・・・涼子も・・・強いのぉ。

涼子:わ、私は全然強くないよ!けど、本当に強い人っていうのは・・・

美砂:強い人っていうのは・・・・・・?

涼子:う、ううん。何でもない。



私の知る強い人。敦含め天邪鬼の皆、それになっちゃんに白さん。皆強い人。彼らの共通点っていうのは・・・


痛みを・・・人の痛みを・・・知ってる人。悲鳴を上げたくなるほどの痛みを知ってる人。その痛みのことでいつも悩んで・・・悩んで・・・痛みを・・・自分の一部だと思って認め、真っ直ぐ道を歩いてる人。そんな人だよ。だからちょっとビビったっていいじゃん。大切なのは・・・


涼子:大切なのは自分の行動によって相手がどう思うかだよ。大抵相手がどう思うか悩んでいる人が小心者なんだよ。だから、美砂は全然弱くないよ。

美砂:なんか深いのぉ。

涼子:え?あ・・・うん。


美砂:よしっ、ウチ!明日告白するっ!

涼子:ホント!?え、私なんもアドバイスしてないけど!?

美砂:なんだか涼子の話聞いとったら、ウチの悩みなんてしょーもないもんだって気づいたんじゃ!

涼子:あ・・・そう。



なんかノリは無茶苦茶いいな・・・こういうところは少し羨ましいかも。


そういえば・・・強い人って誰だろうって述べたとき、出てきた人は天邪鬼とか陰陽師とか・・・特殊な環境にいる人だけだ。そんなはずはない。普通の人間だって強い人はいるのに・・・。


なんでだろう・・・やっぱり、自分がそういう状況にいるからか。でも、自分が強いと思ったことはないな・・・



そして翌日。


夕方に涼子に電話がかかってきた。


美砂:涼子ぉ〜、結局慎二と会って来たけど・・・緊張しちゃって・・・その・・・

涼子:告白できなかったわけね。

美砂:う〜〜ん!次こそする!


何とも高校2年生らしい。ホント微笑ましい。そんなこんなで会話していると・・・



ピンポーン



インターホンが鳴った。今、家には涼子のみだったので・・・


涼子:美砂、お客さんが来たから電話切るね。頑張って告白しろよ。

美砂:う、うっさい!


そして電話を切り、玄関まで行った。そこには敦がいた。


敦:おかげで由紀は治った。ありがと〜、感謝感謝。

涼子:うん・・・よかったね・・・じゃないわアホ!


バコッと殴った。


涼子:あのねぇ、私だけならまだしも・・・美砂は断りなさいよ!アンタの押されたら断れない性格何とかしなさいよ!弱いんだから・・・

敦:いって〜・・・なんでイライラしてんの?

涼子:なんとなく!もう一発いっとく?

敦:いや・・・悪かったからもうやめて〜!桐谷ちゃんに本気で殴られんの・・・超痛いんだから。でも、ありがと。もしなんかあったら何でも言ってよ。俺が護るからさ。

涼子:え?う・・ん。


と言って敦は帰って行った。何であろうか。彼、いつも眠そうな目ぇしてるし、声にはだるさが宿ってるし・・・ぶっちゃけ最低男だ。だけど・・・ふとした時・・・カッコいいんだよな。







夏姫:ねぇ裕くん。

裕輝:あ?

夏姫:もうすぐ・・・なんか起きるの?

裕輝:あ〜・・・かもな。だけどお前が心配することじゃねぇよ。


ここは夏姫の家。夏姫が裕輝に勉強を教えていたところであった。


夏姫:なんで?知ってる以上、知らん顔は出来ないよ。

裕輝:さあな。俺はイザナギともイザナミとも会ったことある。アイツらはヤベェ、危ねぇんだよ。だから、お前は絶対首突っ込むなよ。

夏姫:・・・・・・でも、心配だな。何か・・・胸騒ぎがするの。裕くん、絶対無事でいてね。









次回・番外編を挟んだのち、次々回・天邪鬼追放篇スタート