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Re: 彼は天邪鬼 【天邪鬼追放篇スタート!】 ( No.564 )
日時: 2014/04/17 18:47
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: glXVlHlM)

NO.83『正しい人であろうとしているだけだ』


この物語が始まって半日が経った。その間に、テレビやらTwitterなどで天邪鬼について、そしてその天邪鬼である涼太たちの顔が全国に知れ渡ってしまった。つまり、

だが現在は深夜。人通りはそこまで多くないし何より辺りは暗い。よって、今なら帽子や眼鏡などをかければ普通の人はわからない。

そう、普通は・・・ね


今、黒鉄と涼太と裕輝が灰露に会うために夜道を歩いている。


涼太:黒さん。梅宮くんの居場所わかってる?彼は今、俺たちを捜すために動き回ってんだろ?

黒鉄:ん?まあそうなんだが・・・会う方法なんて簡単だろ。

裕輝:あ?どういうことだ?

黒鉄:お前らちょっと手ぇ出せ。

涼太:え?





そして数分後。




黒鉄は警察官を一人見つけた。



黒鉄:すいません、お巡りさん。

警察官:ハイ、なんでしょう・・・ってその2人って!

黒鉄:見ての通り、腕縛って拘束しときましたよ。天邪鬼ってやつですよね?見つけたんでしばいておきました。



確かに彼らの手は縄で縛られてる。その顔は・・・むっちゃイラついていた。


こいつ・・・俺たちに




警察官:あ、あ、ご、ご協力感謝します!では、彼らは我々が預かりますので・・・

黒鉄:そういわないで。実は俺、今は一体育教師なんですけど、元陰陽師なんですよ。あなた方の協定先の陰陽師当主、梅宮は俺の従弟です。

警察官:あ・・・はぁ

黒鉄:なんかアイツ、俺の電話にも出ないんですよ。そう、こいつらは手土産というやつだ。こいつら引き渡してもいいけど、灰露に会わせろ。勿論、お前が下っ端ってのはわかってる。だから、今すぐ上司に連絡して・・・



“その必要はありませんよ。”



夜道から制服を着た男の子が現れた。紛れもない、昼に会ったばかりの梅宮灰露であった。



黒鉄:よぉ灰露。今何時だと思ってんだ?ガキは寝る時間だぞ?

灰露:本当は寝たいんですけど、どっかの誰かがヘマしたせいで俺がこの仕事をやることになったんですよ。俺のせいじゃありませんよ。それより、よく捕まえましたね、その2人。

黒鉄:お前・・・何言ってんだ?わかってんだろ?俺がどっちの味方かってことを・・・

灰露:?何のことですか?



こいつ・・・俺が陰陽師をやめた理由をまさか知らない?なんかまた変な展開になってんな・・・・



灰露:で、話とは何ですか?

黒鉄:お、おう・・・まずはテメェ・・・電話番号変えたなら教えやがれ!電話繋がんなかったぞコラ!

灰露:あ、すいません。後で連絡します。それだけですか?

黒鉄:んなわけあるか!テメェ、陰陽師は穏便にってことをモットーにしてんだ!なんでこんなに・・・穏便どころの騒ぎじゃねぇ!

灰露:言われたのです。かぐや姫様に。かぐや姫様は蘇り、悪の根源たる妖、天邪鬼を駆逐せよとおっしゃった。我らはその命に従うまで。



かぐや姫・・・つまりイザナミのことである。つまり・・・



涼太:今はイザナミが陰陽師を指揮してるってことか?

灰露:妖は黙っていろ。今喋っているのは俺と黒鉄兄さんだ。会話の邪魔だし、まずはお前らを斬るか。

黒鉄:本題はこっからだ!いいか、お前らは今騙されてる!天邪鬼は妖なんかじゃねぇ。こいつはちょっと普通の人とは違う力を持った紛れもねぇ、人間だ!



人間・・・黒さんは俺たちをこう言ってくれた。

裕輝もなんか少し嬉しそうな顔をしてる。そうだな、俺たち天邪鬼を“人間”って言ってくれる人間なんて・・・そうそういない。



灰露:・・・・・腑抜けているな。だからアンタは陰陽師の当主から外されたのか。

黒鉄:あ?

灰露:昔からの教えだ。かぐや姫様は我々陰陽師に力を与えてくれた神様のような方だ。彼女の言うことは絶対。彼女が天邪鬼を悪だと言った。

涼太:じゃあ・・・悪ってなんだ?



唐突に涼太は言った。自分でもこんなこと言うつもりはなかった。ポロッとこぼれてしまった。灰露は黙って涼太を睨むだけであった。




涼太:悪ってなんだ?人を殺す者か?人から何かを奪う者か?それとも人と違う者か?なあ、俺たちを悪って言うんだったら悪って何か教えてくれよ。教えろよ、お前が正しいって言うのであれば・・・

灰露:それは俺にもわからんよ。だが、妖は必ず悪・・・

涼太:んなこと聞いてねぇよ!妖が悪・・・か、そう一括りにすりゃひょっとしたら俺たちは悪かもな。だけどな、俺たちは自分自身が悪だとは思っちゃいねぇ。

灰露:では、貴様らが正義だとでも言いたいのか?

涼太:別に俺たちが正義だとは思っちゃいない。ただ、人間じゃなくても、天邪鬼でも、正しい人であろうとしているだけだ!それなのになんで人間はその邪魔をするんだ?俺たちはただ・・・

裕輝:やめろ、桐谷。言いたいことは俺だって山ほどある。けど、お前の力説、アイツには何も響いてねぇみたいだ。目ぇ見たらわかる。



灰露の目は冷めていた。



黒鉄:・・・・・・灰露、幻滅したぞ。テメェ・・・いつからそんな石頭になった!

灰露:アンタが・・・陰陽師の当主になったあたりからだ!

黒鉄:悪い!交渉決裂だ!テメェら、やるぞ!縄取れ!

灰露:闇を消す・・・それが俺の仕事だ!




3話目にして、もう戦いモードです。







続く