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Re: 彼は天邪鬼 【天邪鬼追放篇スタート!】 ( No.569 )
日時: 2014/04/24 16:41
名前: 莉遠 ◆SGgMeX0HUg (ID: glXVlHlM)

NO.84『悪いと思うことはやらない』


俺が初めて陰陽師の当主になるべき男だと自覚したのは約7〜8年前・俺の従兄、松坂黒鉄が竹内真白の代わりに陰陽師当主になった時だ。

“梅宮灰露”の名前からわかる通り、俺は梅宮の姓を持っている。だが、別に梅宮家の人間と言うことではない。NO.81で言った通り、父親が梅宮家、母親が松坂家である。対竹内家として所謂政略結婚して生まれたのだ。

そう、政略結婚なのである。別に父親と母親は互いを愛し合っていたわけではないし、俺は実の子ではあるのだが、どこか距離があった。

幼い頃から梅宮の家と松坂の家を行き来していた。梅宮家も松坂家も本気で俺を愛でてくれた。あの時は政略結婚とかそういう大人な事情も知らなかった歳だったし、愛でてくれたのは純粋に嬉しかった。

そして、この愛が偽りのものだと知ったのは松坂黒鉄が陰陽師の当主になったとき。竹内家がつぶれ、松坂家は自分の一族から当主を排出することとなった。つまり、もう梅宮家とその繋がりたる俺・梅宮灰露は不要になったのである。そして、竹内家打倒のために組んだ松坂家が敵になったため、梅宮家にとっても梅宮灰露が不要になったのである。

故に、松坂家からも梅宮家からも・・・、そして最悪なことに親からも見放されることになった。すぐに親は離婚し、一応苗字的にも梅宮家に所属するようになったが、もう愛とかそういうのはないのである。


だから自分がこの陰陽師の世界で生き延びるためには、優しさとか言ってられない。与えられた仕事を完璧にこなせられなければ見捨てられる。そうやって過ごしてきたので、相当な石頭になったのである。




灰露:アンタなんかに俺の苦労はわからない!普通に親がいて、普通に皆に期待され、裏切られることもなかった!なのに、アンタは自分から陰陽師を寝返った。俺はアンタもわからない!

黒鉄:ああ、わかんねぇな!つーかわかるわけねぇだろ!俺はお前じゃねぇんだからよ!


まあ小説なのでバトルシーンは割愛するが、まあ灰露と黒さんが戦っているのである。灰露は真剣、黒さんは木刀であった。一応黒さんはもう陰陽師とは無縁であるため、真剣の持ち歩きは銃刀法違反に引っかかるのである。

そして・・・


裕輝:なぁ、手伝うって言ってもあんな凶器持ってるやつと戦いたくねぇんだけど。

涼太:それは俺もだけど・・・黒さんだけに迷惑かけられないよ。行くぞ久利生!

裕輝:ハァ・・・わあったよ。じゃあ黒さんよぉ!俺がそいつ捕らえるから、その後はテメェでなんとかしてくれや!

黒鉄:捕らえるってどうやって・・・

裕輝:こうやってだよ。



涼太のすぐ隣にいたはずの裕輝が気が付いたら灰露の後ろに回り込んで、腕で体を抱え、灰露の動きを止めた。裕輝は運動神経だけなら天邪鬼1。その速さは常人を逸しているというか、もう人間技ではないくらい速いのである。そこからの特殊スキル・異常なる反射神経を持っているため、攻撃をほとんど受けることがないため“最強”なのである。



灰露:化け物め・・・

裕輝:お前ら陰陽師も剣やら札やら武器使わねぇと戦えねぇんだろ?だったらこうして動かせなくしたらいいんだよ。



パワーも勿論天邪鬼であるためとんでもないことになっている。つまり、灰露は今武器も使えないため、何もできないのである。




涼太:・・・・・・俺、何も仕事なかったな。

黒鉄:まあ落ち込むな。無事に灰露捕まえれたしな。

涼太:あれ?俺たちの目的って梅宮灰露の捕獲だっけ?話し合うことじゃなかった?

裕輝:どっちでもいいけどよぉ、さっきの警官いねぇし、もうそろそろ誰かここに来るんじゃねぇか?

黒鉄:ちょうどここに縄があるし、縛って俺ん家持ってくぞ。

涼太:持ってくって・・・黒さんってやっぱ鬼畜だよね。


そして、涼太たちは灰露を捕まえ、その場を去った。そしてそのちょうど数秒後に警官が沢山くることになったので、この判断は賢明であった。



帰って来た時にはもう朝だったので・・・



黒鉄:オイ・・・テメェら何寝てんだ!俺たちが命張ってた時に!

智:ん・・・むっ、ふあっ。あ、おはようございます。

黒鉄:あ、じゃねぇよ!完全におねむだなコルァ!

敦:うるさいよ〜、ここアパートでしょ?隣の人に俺たちのことバレたらどーすんの?

涼太:それじゃあ今度は俺たちが寝ようか。高校生なのに徹夜したしな。体によくない。梅宮くんだって寝たいだろ?

灰露:・・・・・・オイ、ふざけているのか。なぜ俺を殺らない?俺は貴様らを滅すために・・・

涼太:なんでって・・・当たり前だろ。人殺しは犯罪だよ。



天邪鬼たちは皆“当然じゃん”という顔をしていた。




灰露:お前ら・・・お前らは天邪鬼だろ!妖だろ!何が犯罪だ!人間らしいこと言いやがって・・・

蔵之介:全く、頭の固い男だ。

涼太:それ、玉山が言う?まあ、いいや。人間でなくても・・・天邪鬼でもさ、悪いと思うことはやらない。それにさ、お前、逃げようと思えば逃げられたんじゃないの?

灰露:あ?

涼太:夜だし、大声で“助けて〜”とでもいえば何かしら出来たんじゃないのか?それとも、出来なかった理由があるとか・・・

灰露:・・・・・・チッ、勘のいい男だ。いいだろう、お前たちに教えてやろう。お前たちが敵にしている相手がなんたるものかをな。







続く