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Re: 彼は天邪鬼 【天邪鬼追放篇スタート!】 ( No.575 )
日時: 2014/04/30 00:00
名前: 莉遠 ◆SGgMeX0HUg (ID: glXVlHlM)

NO.85『信じたいんです』


涼太:俺たちの敵・・・?

蔵之介:それはイザナミやイザナギではないのか?

灰露:・・・・・・あくまで俺たち陰陽師は敵だと判断していないんだな。まあいい。それこそがお前たちが本当の敵が何たるものかわかっていない証拠だ。

黒鉄:どういうことだ?陰陽師が敵だとでも言うのかよ。そりゃ石頭のお前の他に、厄介なジジイとババアがいるが・・・

灰露:違うだろ。よく考えてみろ。何がお前たちをここまで追い詰めてるんだ?なぜお前たちは正体を隠して過ごしている。今なぜお前たちは隠れて生活しなければならない?なぜ人目を気にしなきゃいけない?簡単だろ。


もうこの時点で天邪鬼の皆は・・・いや、黒さん含め全員、灰露がなんと答えるか予想がついてしまった。



“人間だろ?”



この一言。灰露の何の感情もこもっていないこの一言で、天邪鬼たちの表情は一瞬で凍り付いた。わかってはいた。だが、その一言を人間である灰露から言われたのだ。


灰露:確かにこんな風にお前たち天邪鬼が日本全国に指名手配のされるように仕掛けたのは確かにかぐや姫様だ。だが、俺たちはキッカケを与えたに過ぎない。ここまで勝手に盛り上げてるのは普通の一般人だ。


今は朝7時、テレビをつけたら大半がニュース番組をやっているであろう。そして、どのニュース番組も今“天邪鬼”についての特集をしているのだ。


灰露:俺を捕まえて陰陽師を鎮めたところでこの騒動はもう止まらない。お前らは俺たち人間からいつも狙われることを忘れるな。天邪鬼は、人間の世界から追放されたんだ。



言い返したかった。慎二を筆頭に沢田さん、瀧原、佐倉、炎泉、芥川さん、紅坂先輩、麻美ちゃん・・・色々な人間に出会った。

決して人間の友達は多い方じゃない。だが、自分の中で確実にその存在は大きかった。その大切な人たちのいる世界に・・・もういられない。そう考えると、言葉も出なかった。


だが・・・


黒鉄:ふ〜ん、じゃあ俺人間やめてもいいわ。

涼太:は?え?



天邪鬼の皆と灰露は驚いた。まあとんでもない一言だから。


黒鉄:そんなよぉ、人間とか天邪鬼とか難しいこと考えるくらいだったら、何も考えねぇよ、俺は。そうやって自分たちの価値観をこのガキ共に押し付けるのが人間だってんなら、俺は人間じゃなくてもいいっつってんだよ。まあ実際そうにもいかねぇんだけどな。だから一つだけ言っとくぞ。このスパルタな松坂先生が珍しく励ましの言葉を言ってやる。


皆黙って黒さんに顔を向け、聞いていた。


黒鉄:テメェらは一人じゃねぇ。世界中の人間がお前らを罵倒しても、お前たちが全うに生きる限り、俺はお前らの味方だ。



しばらく沈黙が続いた。それを破ったのは口数の少ない智だった。



智:・・・・・・灰露さん。あなたの言うことは間違ってないかもしれません。でも、正しくもないんです。正しいことなんて誰にもわからない。だから、僕はこうやって言ってくれる人間たちを信じたいんです!

灰露:・・・・・・きれいごとだな。そんなこと言ってくれるのは、黒鉄兄さんくらいだ。

涼太:そうかもしれないけど、それでも・・・一人でも信じてくれる人がいれば、俺たちはやっていける。人間たちがどんなに俺を憎んでも、俺たちはぶれないよ。



プルルルル・・・このタイミングで黒さんの携帯が鳴った。その電話先からは・・・



“真白:よぉ、黒!なんかおめーら大変なことになってんな。”

黒鉄:オイ、俺たちァ今結構大変な状況なんだぜ。何を笑って・・・つーかお前今どこにいんの?

“真白:どこって・・・どこだろ?”

黒鉄:ハァ!?何言って・・・それより赤西正義は見つかったのか?

“真白:見つかったっていうか・・・・・・まあ見つかったかというと、見つかってないんだが・・・”

涼太:そういえば梅宮くん、俺が昨日赤西に電話した時、出ないって断言したよね。なんか知ってんじゃないの?




その言葉を聞いた瞬間、天邪鬼たちの目は一斉に灰露の方へ向くこととなったのは言うまでもない。



灰露:俺が話すことは・・・ない。

裕輝:てめぇ・・・自分の状況わかってんのか?今締め上げられてんだぞ?

灰露:俺は腐っても陰陽師当主だ。どんな拷問を受けようがこれ以上機密事項は言わねぇ!

“真白:あ・・・灰露がそこにいんのか?あー、ひっとらえたんだ。悪い趣味してんなぁ黒ぉ・・・”

黒鉄:黙れ、で、見つかってもいないのに何の用だ?

“真白:ああ、用ならある。取りあえずテレビ見てみな。今だと・・・1chがいいんじゃねぇか?用はそれだけ。じゃあな・・・”




と、一方的に電源を切られた。そして忠告通り一同はテレビをつけた。そしたらそこには驚くべき事柄が報道されていた。


右端の欄には“速報”と書いてあった。報道内容はこうだった。





“天邪鬼に協力していたとされる高校2年生の女子高生が今、警察に逮捕されました。彼女は天邪鬼たちの正体を知っており、それがわかっていて天邪鬼に加担したとされているため、現在事情聴取をしております”





裕輝:これって・・・まさか・・・!!





夏姫!?






続く