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Re: 彼は天邪鬼 【オリキャラ募集中】 ( No.92 )
日時: 2013/06/09 17:32
名前: 莉遠 ◆gX.y9FxA6g (ID: gYu/uyWc)

NO.18『興味ないんスよ』


私たちには夢がない。


別に私が天邪鬼だからと言うわけじゃない。確かに表舞台で活動しているのは涼太であり、私は裏舞台の人間だから夢など持てないっていうのはある。


強いて言うなら、涼太の夢が私の夢だ。


涼太と私は人格が違うとはいえ、一人の人間・・・ではないがまあ二人で一人なのである。だから、涼太が夢を叶えてくれると、それは私の夢も叶ったことになるのだ。


だけど・・・涼太には夢がない。原因は天邪鬼だからというわけではなく、多分、何にも興味をそそられないんだ。何でもできる彼にとって、一番何がしたいというのもないのである。


故に・・・私たちは夢がない。



教師:では、連絡は以上。日直、号令・・・あ〜、その前に桐谷!お前、この後進路指導室に来い。

涼太:あ、はい・・・


クラスの大半が涼太の方を見た。まあ呼び出し=問題を起こしたと思うのは普通であろう。


起立、礼、さようなら〜



進路指導室前・・・



雷:お前、何してるの?

慎二:え、いや〜だって桐谷が呼び出しよ?面白そうじゃねぇか。な、な、お前もこっち来いよ。

雷:なんで、俺は図書室に行く途中なんだけど。てか、そこにいても中の声全く聞こえねぇじゃん。いる意味なくね?

慎二:いーんだよ別に、ひっひっひ!

雷:(バカだ、こいつ・・・



涼太:で、何の用スカ、北川先生?・・・いや、用は大体わかってるッスけど。

北川先生:わかってんのなら話は早い。単刀直入に言わせてもらう。


担任教師の名前は北川玲子。担当科目は数学、なのに常に竹刀を持ち歩いている元ヤンというイケメン(女子だが・・・)先生。



北川先生:てめぇ、この進路希望調査になんも書いてねぇじゃねぇかよ。なめてんのか?これじゃあ私が上から色々言われるんだよコラ!

涼太:先生〜、本音漏れてますよ。



玲子先生は机の上にバンって涼太の書いた進路希望量差を叩き付けた。書いたっていうか・・・第一〜第三希望まであるのに何も書いていない。そう、名前しか書いてない。


北川先生:テメェのような成績優秀者なら東大だろうが慶応だろうが早稲田だろうがどこでも受けれるだろ?それかなんか悩みでも?

涼太:いや、過大評価しすぎッスよ。それに悩みなんて・・・

北川先生:いいから・・・言えやコルァ!


と言って竹刀を涼太の目の前に突き付けた。ていうか文面だけ見たら男だぞ、北川先生!


いやいや、俺が天邪鬼で・・・とかそういうこと言うわけにもいかないし・・・


だけど最大の理由は・・・


涼太:俺、興味ないんスよ。

北川先生:なんだと?大学行く気ないのか?

涼太:いや、そういうわけじゃないッスよ。ただ、どこでも行けてもどこかに俺の興味があるトコがなきゃその紙には何も書けない。

北川先生:ああ、なるほど、そういうことか。


と言って竹刀を再び壁に立てかけた。


涼太:だからいつかはちゃんとその紙に何か書きますよ。俺も大学に行って、ちゃんとした人間にならなきゃ・・・母さん悲しむしさ。





慎二:何しでかしたんだ?桐谷。

涼太:なんで進路指導室の前にいるんだ?まあお前は冷やかしだろうが、佐倉がいるのが一番不明だ。

雷:・・・面倒くさい。


進路指導室前で慎二、雷と出くわした。


涼太:別に、進路希望について色々先生と話しただけだ。

雷:お前のような天才くんがこんな2年生から呼び出しってことは、進路希望調査で変な大学書いたとかじゃ?

涼太:違うよ・・・いや、あながち間違ってはいないんだけどな。

慎二:どんなどんな!

涼太:お前には絶対言わねぇよ!だってすぐ変な噂を流すから!

慎二:そんじゃあ帰りに買い食いでもしようか。桐谷!佐倉!

雷:俺はこれから図書室行くんだって!





——進路希望室



北川先生:ったく、桐谷については余計な詮索だったか・・・だが、問題児はもう一人いるんだよな。


その手にはもう一人の生徒の進路希望調査があった。


くしゃくしゃになっており、大学名には適当な大学の名前をすべて平仮名で書いているというちょっと異常な進路希望調査だ。


そしてその生徒の名前はこう書いてあった。





『炎泉 雛罌粟』と・・・



続く