コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 少女と少年の恋語り『オリキャラ募集』 ( No.23 )
- 日時: 2013/06/03 23:25
- 名前: 四ノ宮 ◆8HAMY6FOAU (ID: ZxuEMv7U)
Scene5____『 知らなくていい事もある 』____。
「今日は、球技大会よぉぉおぉぉぉ!!!」
朝。朝から騒がしいあたしのクラスは、今日はもっと騒がしかった。
「ちょっと!富士山!!うるさいです!!」
「なによっ!出島のほうがうるさいわよっ!!」
デコちゃんと言い争うのはクラスメイトの富士山 凛くん。190センチの長身と引き締まった体つきは男という感じがするが、その言動は女の子そのものだ。
「今、弥生ちゃんは朝ご飯食べているのですよ!?」
「家で食べなさいよ、家でぇぇぇ!!」
身長190センチの凛くんと身長の小さいデコちゃんが並ぶと、トラに食べられそうなウサギのよう。でもそのウサギは極端に気が強い。
「……あむ」
あたしは朝ご飯の焼きそばパンを頬張りながら、苦笑するクラスメイト達に混じって二人の喧嘩を観戦していた。
「奏代さん」
「桐生くん」
声をかけられて、パンをモグモグしながら振り向くとそこには少し伏し目がちな桐生くんの姿が。
桐生くんが話しかけてくれたことなんてなかったけど、どうしたのだろう。
そんなことを思っていても、答えは分かってる。
「……桐生くんが知りたいのは、優くんとあたしの関係?」
「あぇ!?……あ、その。……」
明らかに顔に動揺が出ている。
あたしはコーヒー牛乳のパックを持って、ストローをくわえた。
「あのさ。あの後、僕、優に色々聞いたんだけど……」
「あたしが優くんと付き合ってたって言うのは教えてもらったんだ」
あたしがそう言うと、桐生くんはコクンと頷いた。それでもあたしに聞いて来たということは、全ては教えてもらっていないということ。
「でも、優くんは全部教えてくれなかったんだね」
「……うん。……僕は、別に好奇心とかそういうので君たちの仲を知りたい訳じゃないんだ!ただっ、僕は……っわ!」
桐生くんの言葉はそこで終わった。
というか、強制的に終わらせられた。
「……未来」
「えへへー、弥生、ほっぺにおべんとついてるー!」
突然会話に割り込んできた、クラスメイトの鈴風 未来によって。
あたしと未来は高校一年の時からクラスメイトで、よくお話とかする仲なのだが。
「あのねーあのねー!そのパン、ぼくにもちょーだいよ!」
「食べかけだよ、未来」
その高2とは思えない外見、中身でクラスのマスコットキャラ的存在。
そして、そんな未来といるうちにまるで自分の弟のような錯覚を覚える。
「いいもん!ぼく、お腹すいたー!」
「……未来。飴あげるから、パンだけは」
本当にお腹が空いているんだ、あたしは。
「えっと……鈴風くん。あの、僕、今、奏代さんと……」
「あ、桐生くんも食べたいのー?」
「いや、僕は……」
「食べたいのー?」
「あの、鈴風く……」
「食べたいんでしょー?」
「…………うん、ありがとう」
恐るべし、2年3組マスコット!
とか、思っているのはダメだ。あたしは今、桐生くんと大事なお話をしていて……。
「んまぁーー!未来くん!何を食べてるの?!お兄さんに教えてっ!」
飴を、というかペロペロキャンディを舐めていた未来に、凛くんが飛びついてきた。それと共に、デコちゃんも走ってくる。
「ちょっと、富士山!まだ、決着がついていないですよ!!」
「んもぉ!後にして!今、動画に収めているのだからっ」
キラキラと瞳を輝かせ、短い足をパタパタはためかせながら椅子に座って飴を舐めている未来の姿を携帯のカメラに収める凛くん。
「……富士山くんは、何者?」
「……フェンシング部、次期部長。そして、密かにショタに思いを寄せる生粋のショタコンだよ」
「え、ショタ……え?」
分からなくていい事も、世の中にはあるのだよ。桐生くん。
(可愛いわ!可愛いわよ!未来くん!)
パシャパシャ!!
(んんー、うまうま、甘々だよー。弥生ー、もっと飴ないのー?」
(虫歯になるから、やめときなよ)
(うえぇぇぇ!いいじゃん!弥生のケチ!)
(そうよっ、おとなしく渡しなさいよ!ケチ!)
(……ケチって貴方達ね)