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Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜 ( No.1 )
日時: 2013/06/29 20:43
名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: t7vTPcg3)

#1 「始まり」

〜マルノ寮 206号室〜

「ロイー。もうちょっとゆっくりせえや。わいはまだ、朝飯食うとらんのや」

部屋の中に、のんびりとした声が響く。

「えええっ!?もう出発しないと 間に合わないよ、マーム!!」
「そういうロイもまだ、髪結んどらんやないか」
「え?……あぁ!!忘れてた!!えーと、どこだっけ、ゴム……ゴム……。」

金髪の長い髪の毛に茶色の目。平均より少し小さめの身長で高めの声。……そして、右手の手のひらにある黒と白の紋章。

彼の名は、ロイ。ロイ・サルベルト。

自然を操る能力を持つ少年。……そう、紛れもなく少年だ。女のような容姿をした少年なのだ。

「……あ、あった!」

髪をポニーテールにしてパチンッとゴムを締める。

「これで良しっと。……マーム、まだー!?」
「うーん、わいはまだかかりそうや。後で空飛んでいくさかい、先行っといてくれんか?」
「それはそれでダメだってば!!君が天竜だということが、バレちゃうだろ!?」

ロイと親しげに会話をしているのは、マームという、白蛇の形をした天竜だ。もちろんオス。封印の魔法を使う。

「……うーん、しゃあない。後で食べるわ。……あ、あとロイ。包帯も巻かんと」
「……あぁ!!ごめんねマーム、何から何まで……すぐ終わらせるから、ちょっと待ってて!!」

シュルシュルッと右手の紋章を隠すかのように包帯を巻く。

「これで大丈夫!さ、行こうマーム!!」
「せやな。……あー、腹減ったー……」
「あ、ほらもう電車が来てる!!早くっ」
「ぐえっ!わ、分かった!分かったって!頼むから引きずらんといてくれぇええ!!!」

目指すはマドリナ学院。今日行われる能力試験を受けに行くのだ。

「お父さん、お母さん……。僕、頑張るよ」

雲一つない、太陽が輝く空。ロイ達は、ゆっくりと部屋の扉を開けた……。