コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜 ( No.11 )
- 日時: 2013/06/29 23:41
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: t7vTPcg3)
#7 「緑の女剣士」
〜マドリナ学院 校長室〜
「校長〜〜〜!!!!!」
バンッと勢いよくドアを開けて校長室に入ってきたのは、副校長の若い男だった。
「……ってあれ?校長不在ですか、ダイアナ・ルワント秘書」
ダイアナ、と呼ばれた緑のショートカットの女性は、眼鏡をしたワインレッド色の目を 本からを離さずに淡々と 冷静に答えた。
「校長は不在です。大事な用事があるので、今はおりません」
「……ええ……?……そ、そんなぁ……」
へなへなと座り込む副校長。
パタン、と本を閉じるとダイアナは聞いた。
「何かあったのですか?校長を呼びに来るほどなのですから、よっぽどのことでしょう」
若い男は少しためらったが、意を決して言った。
「……天竜が……天竜が現れました……」
「えっ、て……天竜ですって!?どこにです!?」
「……試験会場の……控え室Cです……」
「控え室ですって!?そこには受験者が……!!……と、とにかく、了解しました。今すぐ向かいます!!」
ダイアナは見た目に似合わない立派な銃を持つと、校長室を飛び出した。
そして校長室には、一人で震えている副校長だけが残されていた。
〜マドリナ学院 試験会場 控え室C〜
「こっ、これは……!!」
室内に入ると、ダイアナは思わず息をのんだ。天竜など、本の挿絵でちらっと見たことがあるくらいだったのだ。
白銀の鱗。金色のたてがみ。そして、ひしひしと伝わってくる膨大な魔力。
「天竜、マームルト・ロイド……。本当に存在していたとは……!!!」
思わず銃を向けるのをためらってしまうほどの存在感。
それに、そのすぐ近くにいる金髪のポニーテールの……女……男?の子達が邪魔で狙いが定めにくい。
「チッ」
細い剣を取り出す。ダイアナが選んだのは接近戦だった。
「……天竜、マームルト・ロイド!!あんたの敵は、ダイアナ・ルワント、この私よ!!」
湧き上がる恐怖を抑えながら、ダイアナは剣を構えて叫んだ……。