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Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜 ( No.20 )
日時: 2013/06/30 00:20
名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: t7vTPcg3)

どうしよう、このままではメインに話数が追いついてしまうッッ!!!
いっそのこと、こっちをメインにするべきですかね(*´・ω・)(・ω・`*)ネー

あぁそれと、ダイアナ秘書は悪役じゃないですw
今はタダの誤解からマームと戦ってるだけです 笑。

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#10 「天竜の力」

〜マドリナ学院 試験会場 控え室C〜

キラキラと光るエメラルドの雲。誰もがその雲を綺麗だと感じた。……そう、遂に完成したのだ。妖精の雨を降らす雨雲が。

「ゼェ……ゼェ……。や、やっと……。やっと完成したわ……」

ダイアナは疲れた顔で、しかし満足気な顔で、いった。

「……私にはあまり魔力がないから、これ以上魔法は使えない……。だから、これできめる!!」

ビュンッと手を下ろすダイアナ。

「降れ!!妖精の雨をくらうがいい!!!!」

次の瞬間、緑の雲からいくつもの緑の光がマームに向かって降り注ぐ。そしてそれは、雨というより、刃に近かった。
……しかし、雨のように小さい刃では天竜にかなうはずがなく。

「……なんや、これだけか。こんなもんじゃ、わいの鱗に弾かれるだけやで」

言葉通り、マームに攻撃はきいていないようだった。


しかし、そこまで甘くはなかった。


いきなりマームの体中から煙が上がり始めたのだ。

「!?わいの鱗が……!?」
「……フッ……。それで分かったでしょう?その雨は刃としてだけでなく、触れたものを溶かす、強い酸性の雨でもあるのよ。……まぁ、確かにあなたの鱗はものすごく硬い。でも、溶かしてしまえば……あとは柔らかい皮膚が残るだけなのだから!!」
「……うーん、こりゃ……。確かにちょっとやばいかもな」

苦しそうに顔を歪めるマーム。そして、それを下から見上げるリリー達。

「……ちょ、ロイ!!このままじゃマーム、負けちゃうよ!?黙ってていいの!?」

ところが、リリーの焦った声に比べて、ロイの声はとても穏やかだった。

「……あぁ、大丈夫だよー。ああいう感じの魔法なら、マームの敵じゃないから」

爽やかな顔で笑うロイ。そこにはさっきまでの不安は感じられなかった。

「……え?ロイ、それどうい」
「あんた、すごいなぁ。わいに魔法を使わせるなんて」

マームの声でリリーの言葉が遮られる。しかも、マームからさっきの苦しそうな顔は消えていて、余裕の微笑みが浮かんでいた。

「特別さぁびすや。瞬きせんでよう見ときや!!」

そう言うと、緑の雲を睨みつけるマーム。そして……。


魔法を”吸い込み始めた”……。


「……え!?な、何が起こってるの……!?私の雲が……!!」

マームに吸い込まれてどんどん小さくなっていく雲。それを見て焦るダイアナ。笑ったまま話すロイ。

「だって、マームは……」
「……ふぅ……。ごっそーさん♪」

リリーにニッコリと笑いかける。

「僕のフレンドだから」

ロイが言い終わったとき。そこには光のカケラしか残っていなかった。

「……な……っ。……そんな……!!……嘘でしょ!?私の魔法が……竜に食われるなんて……!!」

愕然とするダイアナ。さっきまでの勝ち誇った表情はどこへ行ったのか、今はただの秘書の女にしか過ぎなかった。

「……さ、マーム、もういいでしょ?早く元のマームに戻って?」
「はいはい、わかってるって」

またさっきと同じように、眩い光があたりを包み込む。
そして、そこにいたのは 今度こそ蛇のマームだった。

「……もう、マーム!!頼むから今後一切人の前で天竜になるようなことはしないでね!?」
「努力はする」
「……(ため息)」

二人が軽い口論をしている中、戦争後の戦場のようになってしまった控え室で。

「……やっぱり……ロイ達は、すごい……」

リリーは一人ボソッと呟いていたのだった。


第1章 ■天竜・マームの秘密編■〜END〜