コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ロイ〜ケダモノと呼ばれた少年〜 ( No.48 )
- 日時: 2013/06/30 00:27
- 名前: ぴんくのうさぎ ◆v8I1Bhr5SU (ID: t7vTPcg3)
やっと本編でございます 笑。
間を空けました、頑張ります!!( *`ω´)
(前回の話>>22)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
#12 「翼の盾」
〜マドリナ学院 校長室〜
「そ、その眼はっ……!!」
焦ったように、立ち上がるダイアナ。
「あっつ!!」
急いで立ったので、紅茶を軽くこぼす秘書。案外ドジなようだ。
(……じゃなくて!!……あの目は……。まさか、校長が言っていた……?もしそうだとしたら、今はケダモノ化の第1段階……。まずいわね)
ハンカチで濡れた衣服を拭きながら、ロイを見るダイアナ。表情には焦りが浮かんでいた。
……さすがに副校長もロイの異変に気づいたようだ。
しかし、副校長が先に発した言葉は 実に無能だった。
「……こ、殺せだと!?何を言ってるんだ、貴様は!!副校長にそんなことを言って、タダで済むと思っているのか!!」
(……あちゃー……。こりゃ、副校長は早々に変えないと。状況が把握できない無能な奴はここにはいらないわ)
心の中で冷静に毒づきながら副校長を睨むダイアナ。
結果、副校長は二人に睨まれているという状況になってしまった。
「……言ったことを……フレンドを変えろと言ったことを……撤回してください」
副校長に話しかけるロイ。
「はぁ!?」
「じゃないと、本当に攻撃を仕掛けますよ」
ロイの殺意がこもった目。攻撃どころか瞬殺されそうな勢いだ。
「はんっ、バカバカしい!お前みたいなやつが私にかなうはずがないだろう!!この糞ガキめ!!!!!」
殴りかかる副校長。自分の置かれた状況が、全くわかっていないようだった。
ケダモノ化しているロイに、そんな攻撃が当たるわけがない。華麗に避けるロイ。
それを見て、さらに腹を立てた副校長が取り出したのは……。
「……?銃……?」
「ちょっ、副校長!!何をするつもりですか、そんな子供相手に!!」
副校長が持っていたのは機関銃だった。
「大丈夫だ、殺しはせん。これは空気砲の機関銃バージョンだからな。……まぁ、当たると痛いが」
ダイアナの制止を振り切り、ロイに向かって銃を向ける副校長。
「死ねぇぇえぇぇえええ!!!!!!!」
「いやもう死ねって言っちゃってんじゃん!!!」
ダイアナが思わず敬語を忘れてつっこんだ瞬間、銃口から凄まじい勢いの風が放たれた。
目を見開くロイ。死ねって言われたせいなのか、はたまたいきなり過ぎたせいか。その場から一歩も動くことができなかった。
全てがスローモーションと化す。
(……当たる……!!)
そうダイアナが思ったとき、男の声が響いた。
「ロイッッ!!!!!!!!!」
誰かがドアを蹴破りロイの方へ駆け寄る。
凄い音と共に、校長室は埃が舞う空気に包まれた。
「…………げほっ、げほっ!!……ろ、ロイ・サルベルトは……!?」
涙目でロイを探すダイアナ。さっきまでロイがいた辺りに目を向ける。
……しかし、そこにロイの姿は無い。
(一体どこに……?)
やがて、空気が澄んで周りがはっきり見えるようになる。
「……なっ……!!あなたは……!!」
校長室の隅に黒いカタマリがあった。何かを羽のようなもので守っているように。
……そして、それがゆっくりと開いていくと、正体が明らかになった。
守られていたのは、ロイ。
そして、ロイを守っていたのは……。
揺れる青い髪、伏せ気味の青い目。
「……れっ、レオ・ウォンカ!!!」
なぜか顔を赤らめるダイアナ。
そう、そこにいたのは、レオ・ウォンカ。しかも、レオの背中には、立派な羽が生えていた。
スルスルともどっていく翼。
「……ロイ、大丈夫か?」
レオが心配そうに覗き込んだとき、すでにロイは気絶していた……。
<プチおまけ・1>
=レオがロイを保健室まで連れて行った後=
「……副校長?話が」
「は、はははいっっ!?」
黒いオーラをかもし出しているダイアナと、副校長。副校長は目が泳いでいる。
「次……このような勝手なことをしたら……」
ゴクリッを唾を飲み込む副校長。
「クビになるだけじゃすみませんよ?」
親指を下に立ててニッコリと微笑むダイアナ。目は笑っていなかった。
「ヒィイィイィッ!!!いいいいい以後気をつけますッッッ!!!!」
ペコペコと頭を下げ続ける副校長。そんな副校長を見て、溜息をつくダイアナ。
「……では、私は保健室へ向かいます。ロイ・サルベルトのことが気になりますし」
ガタッ、と席を立つと校長室のドアへ向かうダイアナ。
あ、そうだ、と一言付け加える。
「校長室の掃除をよろしくお願いしますね?校長にバレたら……。とりあえずは生きて帰れませんから。あの人潔癖症ですし。では、そういうことで」
ぱたん、と扉が閉まる。
絶望的な目で、改めて校長室を見渡す副校長。
散乱した書類。まだ少し舞っている埃。足の踏み場もないくらいだった。
「……これを一人で……。……はぁ……」
仕方なく書類を拾い集める副校長でした。