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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: †4人の死神と囚われアリス†【§過去編7/24更新§】 ( No.190 )
- 日時: 2013/07/25 11:24
- 名前: 珠紀 (ID: 0JVwtz5e)
彼はそう言って私の頭を撫でた。
「うんっ」
私も笑顔で返す。
「アリス、そろそろ帰ろうか」
「はいっ!パパ」
差し出された手を握り締め、アズサ君に手を振って教会を出た。
数歩歩いたところで誰かに思いっきり引っ張られ、センリと離れてしまう。
「…っ!誰っ」
路地裏に連れ込まれ口を塞がれる。
子供の手…大人じゃない。
「おい、お前…俺に会いに来たんじゃないのかよ」
子供らしからぬ低い声。
あ…
「…ルキ…?」
そっと手が離され、ルキの方を向く。
「あぁ」
血の臭いと土の臭い…
彼がいつも漂わせている臭いだ。
「今日はパパがお休みの日だから、会いに行けなかったの」
「へー」
彼と会ったのは結構前…1年ほど前だろうか。
地面に寝転がっていた彼にパンを与えたのが始まり。
トーマやスバルのように、家に招き入れようと思ったがセンリに反対されたのだ。
『あの子はダメだ』、と。
ルキはこの地域では有名な子らしい。
『人殺し』、『醜い子』
そんな言葉を浴びせられていた。
だからいつも、センリがお仕事に行っている時だけこっそり会っていた。
「あいつには会って、俺には会わない…のか」
怒ったように地面に座るルキ。
「あいつ…?」
…誰だろうか?
『あいつ』とは…
「〜〜っっアズサとかいう奴だよっ!」
「アズサ君…?」
ぐりんと首を私の正反対に向ける。
「…なんか…あいつとこの頃仲いいよな…」
『俺があいつより先にお前と会ったのに』
ボソリと呟く彼。
「……………」
ポンポンとルキの頭を撫でる。
「っっな!?何だよっ!」
「…え、とね。ルキ…寂しそうにしてたから…」
「寂しくねえっ!」
顔を真っ赤にして声を張り上げるルキ。
「大丈夫だよ」
キュッとルキの手を握る。
「私はずっと、ルキのそばにいる。離れたりしないよ」
そう言うと、彼は涙目で私を見つめ抱き締めた…。
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