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Re: †4人の死神と囚われアリス†【§過去編7/25更新§】 ( No.204 )
日時: 2013/07/29 01:14
名前: 珠紀 (ID: 7xR3brgP)

「ん…」

あれからすぐ寝てしまった。

そっと目を開ける。

「あれ…?」

隣にいるはずのトーマの姿がない。

「っ!スバルは…っ」

…いた。

スヤスヤとぐっすり寝ている。

「どこ…行ったの?」

私は部屋を出て、玄関の扉を開けた。

…奥から何やら話し声が聞こえる。

「……う……まい……かよ…」

トーマ…?

家の裏からだ。

すぐに向かい、チラリとのぞいてみる。

「!?」

そこにはトーマの姿と私達より年上の青年3人。

青年たちは怪我を負っていた。

「何をやってるのですか!?」

思わず叫んでしまった。

「…は?」

一斉に、視線が集まる。

突然現れた私に、3人は目を丸くした。

「何してんだ、お前」

勢いよく飛び出したものの、何も考えていない。

「ええと…」

口を開けかけたとき、ぐいっと壁に押しつけられた。

「関係ない奴はすっこんでろよ」

青年のひとりが私につかみかかっている。

「…おい」

それを見たトーマが、こちらに足を踏み出そうとするともう1人が拳を振り上げる。

「余所見してんじゃねーよ!」

「…ちっ」  

咄嗟のことに、避けられず一撃をまともにくらったトーマは舌打ちをする。

「トーマっ…大丈夫?」

「これぐらいで騒ぐんじゃねえよ。うるせえな」

これくらい、って…

バランスを崩しかけた身体をゆっくり起こすと、2人を身構えた。

冷たくて、鋭い視線で。

「な、なんだよ…」

青年たちがそれにひるむ。

「お前達みたいに人の殴り方も知らねえ奴らにやられたって、痛くもかゆくもねーけどな」

「トーマ…?」

「…お望み通り相手してやるよ」

言うが早いか。

目の前の相手の腕を掴んで引き寄せると、お腹を思いきり蹴り上げた。

「ぐぁ……っ!」

「ちょっ…ト、トーマ!喧嘩は、暴力は駄目っ…!」

「暴力じゃねえよ。正当防衛だろ……っと」

鈍い音がなる。

「うぅ………くそっ……」

青年たちは唸りをあげた。

相手はトーマよりも背も高くて年上で。

しかも2対1なのに。

遅れをとるどころか、トーマが圧している。

「…おいおい。2人がかりで、このザマかよ」

どんどん追い詰めて、反撃する暇なんて与えない。

「これじゃ喧嘩にならねーじゃねえか。おら、へばってねえで立てよ」

トーマはうちに来る前から、喧嘩っ早かった。

どんな相手にもくってかかる。

強いのだ。

「トーマ、もうやめて」

「いつまで寝てんだよ。相手してやってんだから、楽しませろよ」

「トーマ!やめてってば…」

倒れ込んだ相手の胸倉を掴み、無理やり立たせてーーー殴る。

「やっ……ねえ、トーマ!」

これ以上は見てられない。

止めなくちゃ。

そう思って大きく息をすう。

「お、お巡りさーん。ここです!喧嘩です!」

出任せを吐く。

だけど、それは聞いたようで。

「……ちっ。おい、トーマ…テメェ覚えとけよ!」

そんな捨て台詞を残して、青年達は走っていく。

「よかった…」

ひと安心と息をつきかけたとき突然、腕をつかまれた。

「え?」